この4月から、学長に就任された伊東幸宏氏を、遠藤代表理事、太田政策委員長が表敬訪問しました。一昨年に締結された、地域社会に貢献する人材の育成や中小企業の健全な成長と地域経済の発展に資することを目的とした連携・協力協定について、浅利副学長から説明をいただきました。遠藤代表からは、同友会大学における学長の記念講演や、人文学部をはじめとした先生方の、景況調査の協力など、兼ねてからの深い繋がりについて報告をしました。学長からは、工学部の先生方の講師派遣の話も出て、今後の連携事業に期待がもたれるものとなりました。

 富士・富士宮支部5月例会は、中同協地球環境委員長の平沼辰雄氏(㈱リバイブ代表取締役)に講演をしていただきました。テーマは「地球環境における企業活動と同友会活動」。㈱リバイブは、建造物解体工事、産業廃棄物収集運搬、産業廃棄物中間処理・破砕分別を主力事業としています。経営理念は、「地域から地球へ 地球クリーニング~自然環境の回復復元に挑戦し、善循環型社会の実現を目指します~」。産業廃棄物処分業から資源循環業へと、転換をはかっています。
 建設業者から持ち込まれる処理困難物の事例を紹介し、複合材は、処分のことまで考慮した施行計画をお願いしたいと力説されました。廃棄物を分別することで、処理費用を抑えると同時にリサイクル率も向上させることができます。分別を徹底すれば、ほぼ100%のリサイクルが可能だといいます。
 また、本社社屋をモデルルームにし、屋上緑化、クリーンエネルギーも積極的に取り入れています。食農循環プロジェクトでは自社管理農場を活かして、地元の学校の生徒を受け入れ体験型環境教育にも力を入れています。
 後半平沼氏は、自らの同友会活動に触れ、以下のように語りました。
「人を生かす経営」(中同協発行)の中の労使見解は、擦り切れるほど読みました。「ひと・もの・かね」といますが、それらは対等ではありません。ひとを人件費(PL)でみるのではなく、資産(BS)としてみるべきです。社員との真のコミュニケーションをはかるには決算書の公開をしなくてはなりません。経営の危機は社長の責任です。無駄・事故・ロス(機会損失)の排除が経費節減の真髄です。
 企業変革支援プログラムSTEP1(中同協発行)で自社の診断をしてみてください。幹部とともにやると自分との考えのずれがものすごくわかります。経営理念、経営指針の浸透は社長の責任です。方針を出して社員に考えてもらう。なぜ、うちの会社で働くのか。理念がしっかりと腹の底に落ちていれば仕事だけでなく、生活にも浸透します。自社の強み・弱みを分析し、あるべき姿・成功要因を見出す「克ち進む経営」をしていかないとこれからの世の中生き残れません。
 今、文明イコールお金となっています。文化とは、地域の持っている資源(ひと・もの・自然を含む)をどう生かすか、我々の孫がこの町で住みたいと思う環境をつくる。そのために地域振興条例が必要になります。地域の環境を守るのも経営者の役割です。人間が人間らしく生きるために、各地の同友会が地域振興条例制定に向けた活動を進めると同時に、中小企業の地位向上のため、3つ目の目的を果たすために今取り組んでいるのが中小企業憲章制定運動です。
 さらに、地域の中でぴかっと光る企業になるために、理念の中に環境を入れてください。環境経営を必ず皆様の会社の中に取り入れていただきたい。富士・富士宮地区の中小企業化同友会の活性化は一緒に地域をよくする仲間を増やすことです。これを増強と言うのです。他の団体に負けない経営者団体になるためには母体となる会員数が必要です。規模の問題ではなく、1社1社が力をつけることです。1社1社が地域になくてはならない会社だとういう会社になれば、この会はすばらしい会になる。これからのビジネスのキーワードは環境を前面に押し出して仕事をする。そこにしか活路は見出せない。何か特別なことをする必要はありません。本業を通してきちって環境のことを考えてくださいと、締めくくりました。

2010年6月号【第26回】 憲章ってやっぱり必要なんですね 望月省吾氏((株)カネキュウ・静岡支部)

 

4月の中旬に商工会議所の主催で中国の大連市に行って来ました。大連市の高層ビル群に圧倒され、中国の発展振りにも驚かされましたが、それ以上に愕然とした事がありました。それは、日本でも有数な家電メーカーの大連工場での視察でした、その工場は当初、簡単な器具の組み立てを安く仕上げて日本に輸出するのが目的だったそうです、いわゆる「安い人件費」を求めて海外進出しました。ところが、技術進歩と中国の国内需要が相まって今ではかなり高度な製品を作る事が出来るようになったそうです。担当者の方の説明では「このラインは名古屋工場から、あのラインは広島の工場からの移籍、今度作るラインは九州の工場のラインをこちらに移します。何と言っても売り上げの65%は中国国内消費ですから」それを聞いて、このままでは日本は空洞化してしまうと愕然としました。
10年程前、清水のS製作所が縮小する事に対し、ある方が「彼らは本当は撤退したいはずだ、だが社会的責任があるから縮小に留めたのだ、しかし、背に腹は変えられない時が来るかもしれないよ」そして「会社には社会的責任と言うものがあり、貴方方もしっかり感じなさい、そして会社が大きければ大きいほど社会的責任は重くなる」とおっしゃいました。しかし、今や大企業には地域経済に対する社会的責任など感じられません。「同友会は特定の政治団体のみと関わることをしない」と教わってきた中で「何故憲章」と思っていましたが、大企業の事業展開姿勢に起因する国内産業の空洞化の中で、地域の経済と雇用を守っていく為には「中小企業憲章ってやっぱり必要なんですね」。

文献「私の財産告白」
本多静六氏は1866年(慶応2)年生まれ、日本の林学博士、造園家であり、日本の「公園の父」と呼ばれています。林学が専門の東大教授でありながら、独自の蓄財法と人生哲学をもって、一代で巨額の財産を築くことに成功した人物。『私の財産告白』の中で、本多博士は、偽善者の仮面を脱ぎ捨て、「財産や金銭についての真実をぼんやりさせて処世の要訣を説こうとするなどは、およそ矛盾も甚だしい」として、お金の大切さと成功の秘訣を、包み隠さず告白しています。

ゼミ生報告は、杉村征郎氏。昨年、小松ゼミで視察した近江商人を巡る旅のあと、「近江まほろば」を書こうと、日本史だけでなく朝鮮、中国の歴史書など全27冊を読破、課題であったレポートの準備にあたっている。

 静岡支部6月例会は、赤井秀敏氏 静岡石油㈱代表取締役が「不況を吹っ飛ばせ!多角化経営で不況を乗り切れ!」と題し、自社の経営について報告しました。統計データを使って、静岡のガソリンスタンドは平成8年から20年までずっと右肩下がりで推移していることを示し、リーマンショックのはるか以前から省エネの波が押し寄せ、燃料の販売だけではやっていけないというのが業界の常識になっているといいます。
 赤井氏の会社の財務体質の特徴は、90%を超す自己資本比率(ほぼ無借金経営)と、400%を超える流動比率です。表題のとおり、多角化経営を実践していますが、その中身は、SS事業を始め、LPガス事業、新車販売、中古車販売、鈑金塗装、リース事業、レンタカー事業、リフォーム事業など他にもありますが、実に多彩です。何でも自分でやってみないと気がすまない性格で、事業を始める前には自分で資格を取得することが多いそうです。
 会社組織はスリムに保ち、投資は極力抑えています。一方で、多能工を育てることにこだわり、従業員教育には力を入れ、資格も積極的に取らせています。従業員の潜在能力を引きだし、スキルと誇りを身につけさせたい。時には引き抜きにあうこともありますが、それでもどんどん教育するのだと。
 経営者としてのセンスと意欲、何でもこなす能力は卓越(超越)している赤井氏ですが、現在の悩みは、No.2の育成です。自分でも認める文鎮経営は、利益は出るが、組織的には、なかなか前に進まないと本音も語りました。最後に赤井氏は、会員に向けて「静岡同友会の経営指針を創る会に参加して洗礼を受けると、自分の会社をどうしようかという思いが強くなる。是非参加した方がいい。」と熱く語りました。
 ペガサートビル会議室にて開催。支部会員49名、オブザーバー2名が参加しました。

同友会大学第5講座は、静大名誉教授の安藤先生により行われました。『「節度のない国債発行政策」を続け、消費税導入以来の、大法人や富裕層に対する大減税も問題と思われる。税制の乱れが、日本経済を悪化させている。その根は、シャウプ勧告税制の修正にまでさかのぼる』戦前から戦後にかけて税制が、どう動いてきたか。消費税の増税論が出ている中、応能負担の公平理念は貫かれているのか。戦後の税制史の流れとその背景を追うことにより、税金に対する捉え方・意識を改めて受講生に問い、現状を考える講義となった。先生は、シャウプ勧告の意図をいかす、富裕者課税を提唱しています。


5月28日(金)、県障がい者問題委員会が開催されました。
同友会からは7名が参加。関係機関からは15名もの皆様が参加して頂きました。静岡県障害福祉部、静岡県教育委員会、各特別支援学校の皆様を始め、障害者就業生活支援センターやNPO静岡県作業所連合会「わ」、静岡県発達障害者支援センターの方も参加して頂き、活気ある委員会となりました。
今年度の委員会テーマは昨年に引き続き「障がい者理解」です。
企業、行政、学校、そして各関係機関が一同に集まり、情報交換や意見交換をすることで各々の見方が広がり、連携が高まります。
今年度は中部だけの開催に留まらず、県東部、西部でも委員会を開催し、さらに連携を強めていきます。