10月24日(水)、静岡大学人文社会科学部で静岡大学連携講座「企業経済持論Ⅳ」第4回の講義を阿久澤 太郎氏(㈱東海製蝋)が行いました。

 

 

 

 

 

 

㈱東海製蝋は創業明治10年の老舗蝋燭メーカーであり、阿久澤氏は5代目社長です。横浜で創業ののち、戦後富士宮の地へ来たのはローソク作りに最適な富士山伏流水を求めてのことでした。

ローソクの市場は量販店と専門店に分けられますが、専門店市場の開拓へ経営のかじを大きく切ったのは30年前です。営業が専門店を回り、ニーズをつかみ、自分たちにしか作れない商品を作ろうと開発を続けてきました。今では製品の99%が専門店向けで2,000店の仏具専門店と取引があります。

経営理念は先代社長が30年前に作ったものです。阿久澤氏がこの理念を本質的に理解できたのは4~5年前だったと語りました。繁忙期に製品の出荷が間に合わなくなった際、検品ではねられる製品の多さを見たことで、担当者に検品を甘くするように依頼しました。すると「わたしたちの製品を使ってがっかりする人が出てはいけない」と涙ながらに抗議されました。さらに同友会の先輩にこの話をすると、「社員も社長も同じ人間だよ」という言葉が返ってきました。自社・売上・生産性だけを考えて経営をしていたことに気付かされました。

阿久澤氏は経営理念を実践する商品開発を次のように考えます。

①どんな商品が必要か考え、②まねされにくい商品で、③社員のアイデアを入れる。

価格で競争力のある大企業に対し、中小企業の経営戦略は、大量に出せない・むずかしい・面倒なことをするところにあります。安全にローソクを供えることで、日本の灯の文化を継承していくことを使命としています。

『やった!!会社が変貌していく。』私は経営指針を創る会に参加して良かったと実感しています。
私は平成21年5月に代表取締役に就任して同友会に入会、そして次の月には、何か見えない力に惹かれるように、第6期経営指針を創る会で勉強を始めていました。
経営指針をつくる会での受講は、スタッフの方々、先輩方、受講生同士の助言のおかげで、自分の経営の考え方や事業の方向性が、はっきりと見えて来るようになり、社長になって揺らいでいた細い柱が、一気に、硬く太い柱に成長していきました。
表面上だけの経営者が、社員、製品、地域、お客様を想う気持ち、会社を想う気持ちも変わっていきました。
最初は、指針書に基づいた事業の展開は、自分のイメージ通りには行きませんでした。
やはり指針書通りの事業の遂行はむつかしい…。社員への理念の浸透が進まない、震災の影響なのか、自分に足りない物が多すぎるのか?しかし、私には創る会での大勢の先輩方、一緒に指針創りに励んだ6期(ロッキーズ)の仲間達がいました。創る会を思い出しては、諦めずに頑張る!その一点張りで今も頑張っています。
会社が少し変わってきていることは感じていましたが、指針書で気になっていた事を変えてみました。まずは、朝の理念の唱和をやめて、行動理念の唱和(5S、報連相)に変えました。そして、創る会で作った経営指針書の理念の一部を、変えました。また行動指針、行動の心得を追加して、朝の朝礼では唱和の後に、社内全員で握手会等、指針創りの勉強を持続しながら経営指針書を変更しています。
就業中の社内は明るくなり、社員たちのやる気を感じるようになりました。現場工事も自分自身が出かけなくても、スタッフだけで施工してきます。震災の影響も少なく済んで、事業も順調に進んで来ています。
事務所に飾ってある社内のスナップ写真は、社員の笑顔で溢れています。これは私の宝物になりました。
私は創る会で勉強したからこそ、変貌した。そして指針書が、次のステップに以降できたと思っています。経営の難しさ、指針書の大切さを創る会で学んで会社が変わり、自分を変えて頂いた経営指針を創る会に感謝です。

「自分の会社をどうしたいのか、その思いが伝わってこない」と厳しい言葉が発せられる。本当は悩んでいるのだと解っているから出てくる言葉。12名の受講生と25名の卒業生スタッフの参加で行われた一泊の経営指針を創る会一日目。理念を深めるために自社分析し、基本方針を出し、個別方針、数値計画を報告する。

すべてを記入できている状態ではないが、受講生もスタッフも、一言も聴き漏らすまいとする。厳しさの中に温かさを感じるから、発表者も真摯に受け止める。今日出たアドバイスから、また自分の理念を見直して明朝までに一新される。

第9期の最初の山場となるこの研修、欠席した受講生の分もまとめシートを確認し、意見を出してフィードバックする。創る会の醍醐味は、本音での語り合いにある。そして受講生、スタッフ間に連帯が生まれる。仲間としての繋がりが強まって、一年、二年経ても交流が途切れない。

明日が楽しみな10月20日(土)清水ナショナルトレーニングセンターの夜である。

 

10月18日(木)富士市交流センターにて富士支部10月例会が行われました。

テーマは「同友会における障がい者問題委員会の活動と私」報告者は一般社団法人富士障がい者支援ネットワーク 小木曾 順一氏です。

 

小木曽氏は社会への恩返しをしたいと思い、富士支部障がい者問題委員長になりました。そこから県の委員会にも参加するようになり、県内各支部の障がい者問題にとりくむ仲間と共に学んできました。

一般社団法人富士障がい者支援ネットワークは、障がい者の就労や社会自立を支援する目的で、昔からお付き合いがあった女性2名と設立。2012年7月に富士市松岡にて「ぼちぼち横丁」の運営を始めました。

「ぼちぼち横丁」では地元野菜の産直販買や、駄菓子販売なども行い、地域のコミュニティーの場として人々が集まる場所になっています。

「これまでは倒れるまでやればいいと思っていたが、自分たちに関わってくれる人を見ていると、今後の継続と発展の必要性を感じるようになった」と報告を締めくくりました。

 

 

 

 

 

 

バズセッションでは、雇用は出来なくても、自分たちで出来ることから始めよう等前向きな意見が多く、同友会富士支部として他支部の障がい者雇用に取り組む企業視察を今後企画していきます。

 

10月17日(水)、静岡大学人文社会科学部で静岡大学連携講座「企業経済持論Ⅳ」第3回講義がありました。

 

 

 

 

 

 

「中小企業の経営戦略」をテーマに、太田 朝夫氏(太田会計事務所)が講義を行いました。

太田氏は税理士であり、会計事務所を経営しています。中小企業に対して会計監査を行い、決算書・申告書を作成し、経営の助言も行います。

大企業は利益が見込まれるならば全国どこにでも進出し、だめとなれば即撤退するといった動き回る「動物」で、中小企業は地域に根を張る「植物」であり、地域に根付いて生きています。

現在の日本においては、中小企業並びに地方は疲弊しているといわれています。しかしこのような厳しい経営環境においても、独自の技術・経営方法で業績を伸ばしている企業はあります。そのための経営戦略を6つの視点から語りました。

その6つのうち一番強く伝えたいと語ったのは、社員満足主義です。会社の中身は人間で構成されているのだから、社員が生き生きと働いていなければ良い会社にはなりません。社員が満足して自ら働けるにはどうしたらよいのか。そのヒントはカーネギーの「人を動かす」、イソップの「北風と太陽」等の古典にありました。自ら動くように仕向けるのです。太田氏は社員が納得して気持ちよく動けるように、愛情をもって接しています。

 

 

 

 

 

『拡大路線の現実と課題』-博友会の人材確保と離職対策-というテーマの基、フジ虎ノ門グループ、社会福祉法人、博友会の副理事長、高橋利典氏による報告が行われました。

9月に静岡県下NO.1規模の特別養護老人ホーム「すずらん」を新設ました。介護保険事業の拡大をはかり順風満帆に思われた裏には、「選ばれる施設」を作る対策として、差別化をはかり奮闘はするも、報われない業界の構造にかかわる問題や職員確保のための離職対策、または利用希望者の抱える問題などで課題は山盛りです。

そこで、今回は大切な経営資源である、『人』について、モチベーションの維持、向上にむけての意見交換がおこなわれました。

経営者が考える対策は報酬の確保や、理念の継承、また日々の声掛けによる配慮や思いやりの提供等など様々な対応で工夫されている現状がありました。

最終的には、経営者のモチベーションの持ち方次第!!

常にモチベーションを高めましょう!

 御殿場支部 片野 貴一郎

 

 

 

 

 

 

 

 

10月18日(水)沼津市民文化センターにて、沼津支部10月例会が行われました。

今月の報告者は㈲第一経営会計事務所 代表取締役 杉山秀樹氏です。テーマは「税理士だって経営者!~既得権益に守られていた士業にも規制緩和の荒波が・・・でも社員を守りたい!~

 杉山氏は大学在学中「納税者の権利を守る」という言葉に出会い、税理士を目指すことを決めました。昭和63年税理士登録をし、平成元年に㈲第一経営会計事務所に入所しました。

 多くのお客様に恵まれ、良好な状態がいつまでも続く、士業は安定していると思っていました。

 しかし、2001年に税理士法が改正され、業界が一変しました。広告規制が緩和され、さまざまな広告・宣伝が出回るようになり、顧問先を奪い合うようになりました。士業のこれまでの業態は崩壊してしまったのです。

 そこから、杉山氏は様々な勉強を始め、平成17年からMAP経営計画を導入、平成20年にはランチェスター経営社長塾 塾長登録をし、時間もお金もかけて顧問先の為に頑張りました。その中で経営理念と経営戦略と数値計画を同時に作成することで勝利の方程式になると気付きました。

 平成22年に同友会に入会し、今年沼津支部で行われている経営指針を創る会に参加し、「経営指針作成の手引き」を開いたときに、杉山氏は固まりました。「自分が多くの時間とお金をかけて学んできたことが、この400円の冊子に既にまとめられている!!」現在は支部内で指針作成を進めています。

 社員さんとは危機感が共有できずに悩むことがあります。顧問先では社員さんが会社の顔です。なので、事務所では私が会社の方向性を示し、お互いの信頼を作っていかなければと思っています。これからも社員さんを家族のように思い、納税者の権利を守っていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆創業寛永元年

㈲佐藤葬具店の創業は江戸時代初期の1624年。時代を遡ると、先代は神社仏閣の建築や補修に携わる宮大工としても活躍していました。宮大工と葬儀は関係ない業種のように思われますが、佐藤氏は、宮大工と葬祭業の関わりについて「昔の葬儀は手づくりだったので、葬祭業をやる人が大工に修行に行っていた」と話しました。

 

◆きめ細やかなサービス

ご家族を亡くし平成15年に社長となった佐藤氏は、はじめは会社を守ることが精一杯でした。大手葬祭業の進出、家族葬の増加など、葬祭業を取り巻く環境は激動し、要求されるサービスもお客様毎に異なってきています。佐藤氏を筆頭に、昔の手づくりの葬儀のよさを引き継ぎつつ、細やかな配慮を心がけています。夏の暑い日には、うちわを作り参列者に渡します。また故人の好きな花や食べ物を、季節に関わらず探してお客様に提供するサービスも行うなど、オリジナル葬の演出もします。

 

◆自社の強み・今後の展望

家族同然の社員がいることが自社の強みです。「今を楽しもう」をモットーに、社員にもお客様にも接しています。常にお客様への思いやりの気持ちを大切にして、どうしたら喜んでいただけるかを考えて実践しています。今年2月に入会した佐藤氏は同友会活動について「会員の方は信用、信頼ができて本音で話せる。いろいろな経営者の話を聞いて勉強し吸収したい」と語りました。

 

取材:高木 基

永沼 純子

取材・記事:髙橋 幸夫

◆半世紀以上の歴史

「フジモ印」のブランドでおなじみ金山寺味噌の㈱森下商店へ企業訪問させていただきました。 金山寺味噌は750年の歴史があり、食品業界では地味ながらも全国に根強いファンがいる商品です。

森下氏は大学を卒業後、東京に本社がある大手漬物メーカーに就職し、約3年間修業をしました。その後、森下商店に戻り1年間出向という形で中小企業大学の「経営者・後継者コース」で勉強をしました。27歳から本格的に森下商店の仕事を始め、自分のやりたい事を誰にも相談せずに実行し、失敗したこともありました。その時に、長い間守られてきた行程等には必ず理由があり、磨きあげられら結果だったんだと気が付きました。

◆こだわりの手作業

訪問して驚いたことは機械を使いながらも、同社のこだわりとして金山寺味噌の製造工程の中で小麦や大豆の粒を混ぜるのはつぶさないように手作業で行っていることと、熟成期間が必要で出荷するまでに約一ヶ月かかるということでスペースと製造できる量が限られていることでした。その中で効率よく作業されていましたが「年間のスケジュールを決めお客様に一番おいしい状態で食べていただくことが使命です!」と普段以上に熱く語られる森下氏でした。

 

◆若い世代にも食べてほしい

自社の商品を今まで手に取ることが無かった人にも届けたい。そのために様々な新しいレシピの提案を行い、販売方法もエンドユーザーに直接届ける努力をしています。

現在森下商店は56期目、100年企業を目指しています。売上高や会社が大きくなることも大切ですが、みんなに必要とされる会社であること、今後も社員が安心して働ける会社にしていきたいです。

金山寺みその将来性と魅力に見学者の私たちが森下氏に、逆に熱く意見を交わす場も見られ大変貴重な訪問をさせていただきました。今後も森下商店に注目です。

取材・記事 大瀧 博敏

木村喜久司氏(フォーマリー丸善)は、大手製薬会社を辞め、父が経営する貸衣裳店を引き継ぎました。結婚式にのぞむカップルの希望もさまざま、たくさんのプランを準備し対応しています。結婚する二人だけでなく、親御さんが喜んでくれることが、プロデューサーとしての最大の喜び。ウェディングドレスにこれからの夢をのせて、新婦の晴れやかで幸せな笑顔をみることができ、総合プロデューサーの手腕が試されます。少子高齢化の中、結婚式に対する意識も変わってきています。いろいろな要望を聴きながらも、心に残るブライダルを演出。参加する人にやさしい結婚式、和懐石で海の幸を存分に楽しんでもらう。参加者から、「高齢の方向けの新しいプランを考えてはどうか」「地域のホテルや式場との連携で、他と違う楽しみ方ができるプランを」と、自由闊達な意見交換となり、今後の企画にいかしたいと話す木村氏でした。