第364回となる今回は、支部設立30周年事業のテーマの一つでもある「歴史に感謝!」と題し、御殿場支部を牽引してきた歴代支部長8名が集結しました。

6代目の鈴木氏がコーディネーターを務め、初代の田中氏、2代目の長島氏、3代目の瀬戸氏、4代目の矢後氏、5代目の根上氏、7代目の勝亦氏、そして現支部長の菅沼氏がパネラーとなってのパネルディスカッションが行われました。それぞれが担当していた当時の時代背景や経営環境を交えながらの話で、設立から現在に至る御殿場支部の長い歴史がひも解かれていきました。そして各支部長の行ってきた活動とそこにかけた熱い思いや、それぞれが思う今後の同友会への提言、そして大変興味深い裏話なども聴くことができました。

参加者それぞれの年齢や会歴により感じることは様々だったと思いますが、歴史を知り誇りに思うことも、若き日を振り返り原点を見つめなおすことも、これからの同友会での学びや会社経営のためのエネルギーになったことと思います。

まさに参加者全員が「歴史に感謝!」をした一夜となりました。

益山 卓哉氏(㈱益山電気工事・御殿場支部)

●第1部:
「条例制定で会社が変わる。まちが変わる。」
~愛媛同友会の取組み事例と条例の可能性を探る~
●第2部:
中小企業振興基本条例ワーキンググループ草案を発表


米田 順哉氏(愛媛同友会 副専務理事)

6月6日(土)、静岡市産学交流センターペガサートで中小企業憲章・中小企業振興基本条例学習会を開催しました。牧之原市議会、富士宮市議会の議員の方々をはじめ、静岡県、牧之原市、富士宮市、また藤枝、富士宮商工会議所、静岡県中小企業団体中央会、静岡大学からご参加頂いた20名を含め53名が集いました。第一部では愛媛同友会副専務理事の米田順哉氏(NPO法人家族支援フォーラム)が「条例制定で会社が変わる。まちが変わる。」をテーマに、松山市・東温市の中小企業振興基本条例の制定~活用運動の実例と今後の展開を語りました。

県条例草案を説明する佐野譲二氏
第二部では会内ワーキンググループ(WG)で成文化した静岡県中小企業振興基本条例WG草案を憲章推進本部長の佐野譲二氏(㈱和泉運送)が説明しました。

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米田氏の話は「このまま私たちが何もしなければ中小企業の存立基盤である地域が消滅してしまう」といった「ゾッとする未来」の話から始まりました。私たちは同友会活動を通じて「人を生かす経営」を学び、強靭な会社を作って地域社会に貢献することを実践しています。しかしそこには限界があり、産学官連携の枠組みを活用しながら地域ぐるみで仕事・雇用・暮らしを守る仕組みを確立しなければならず、正にこの仕組み作りが条例の意義であると言えます。中同協の総会で憲章と条例の制定運動に取り組むことが決定され、各地で地道な運動がなされていますが、その前に私たち中小企業自身が支援されるにふさわしい企業になるという覚悟が必要であることを肝に銘じなければなりません。条例による中小企業支援には多くの場面で税金が使われるので、私たちは自覚的・自律的中小企業でなくてはなりません。私たち中小企業1社1社が地域振興のエンジンになり、地域循環が出来る企業として存在し、それが実践出来てこそ、初めて条例が意義有るものになります。

愛媛同友会では産学官連携で条例を制定し推進しています。中でも松山市では、実態調査、条例づくり、円卓会議という定石に則った条例制定を進めています。実態調査ではリサーチ機関と連携し、東温市では域内の1300程の全事業所調査を行ったとのことでした。松山市の円卓会議では同友会以外に商工会、大学、金融機関など15の団体から委員が参加して、中小企業側から提案し、行政が予算化し振興計画に反映されています。

条例は地域の経営指針であり、理念・方針・計画が凝縮されています。その根底には産学官連携が軸であり、そこに信頼関係がなければ成り立ちません。同友会が提唱する「人を生かす経営」が条例を推進し、条例推進運動が進めば「人を生かす経営」を実践する企業が増えていきます。結果的に地域ぐるみで仕事をつくり、暮らしを守ることになり、「ゾッとする未来」から「希望あふれる未来」になることを確信しました。静岡同友会の会員は、当たり前のように自覚と覚悟を持って条例制定運動に関心を持たなくてはなりません。


6月2日の中同協主催 中小企業憲章・条例推進月間キックオ
フ集会には36名の国会議員が参加

遠藤 正人氏(㈱富士トレーディング・富士支部)


杉浦 昭男氏(真和建装㈱ 会長・愛知同友会理事)

杉浦昭男氏(真和建装㈱ 会長・愛知同友会 理事)をお招きし、同友会の根源である人間尊重、自主・民主・連帯の精神、「共に育つ」という言葉の本質、そして、同友会とはどういう会なのかを、様々な経験に基づきお話し頂きました。建設業(防水・塗装)を営む真和建装㈱は当社と同業であり、杉浦氏には親近感を強く抱きました。その飾らない姿勢や真摯な取り組みに、よく人柄が表れていると感じました。

「中小企業は社員と共にあり、共に育つより他に存続する道はない。だから『この社長と出会えて良かった』『この会社で働けて良かった』と思える経営者になろう」「『我々経営者は、採用をした時から、社員を幸せにするという責任がある』という強い想いと共に『共育』という言葉はあるべきだ」「池の鯉が池の大きさ以上に大きくなれないように、社員は社長の器以上には育つことはできない。だから我々経営者は、資質を高め、器を大きくするのだ」「経営者は、常に社員に背中を見せよ。『経営理念』は、経営者の背中を成文化したものだ」杉浦氏の、同友会での学びの実践に基づく報告は、その言葉のひとつひとつが心にずしりと響くものでした。

「共に育つとは、俺が育つこと」とは、経営者自身が率先して育ち、その背中を見せなければ社員は育つことができない、という、杉浦氏の謙虚な姿勢と強い覚悟を表した言葉でした。

「社員に自分の背中を見せ、経営方針をしっかり立てて、あらぬ方向へ行かぬようきっちりと確立する。社員を迷わせず、この会社、この社長についてゆきたくなるように、社長としての自覚と責任を認識しながら、個人の資質を高める努力をしよう」という杉浦氏のメッセージを深く噛み締めて、今後も進みたい所存です。

佐藤 義幸氏(松本工業㈱・富士支部)

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報告者の杉浦昭男氏から、同友会と歩んだ33年の歴史より、共育を考え方、行動の原点とし、自身の覚悟と会社としての責任を熱く語っていただきました。

中小企業に必要なのは仕事内容ばかりではなく、経営者の熱い気持ちが必要。そして、自分自身が魅力ある人間になることで解決できる問題がある。そのためには自分が勉強して、いい影響を社員に与え、共に育つ覚悟をみせること、労使見解も交えながら同友会の一丁目一番地の考え方を伝えてくれました。

社員に救われた話、障害を持つ社員から教わったこと。新商品開発で全国に勝負に出た時の苦労と決断。自分の息子さんを労災で亡くしたこと。廃業を考えたこと。など同友会らしい赤裸々な部分もお話いただきました。

同友会を通して知った学びと、実践や、社長と社員の関係を例えた、鯉は器以上に大きくならないお話。ガンジーの格言、明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ。などなど…。内容も盛り沢山でした。

バズテーマは「経営者の覚悟・責任」として、ベテラン社長・新米社長・後継者。それぞれの立場でいろいろな考え方ができる内容で、現在の悩みなども語られ、支部を超えて意見交換ができたように思います。私自身は経営者として「これ」と決めた覚悟、そしてそれをやりきる責任を改めて確認させていただきました。

「同友会とは自分の悩み・課題をみんなで持ち合って解決するところ、黒字を自慢するところではない。腹を割って話し合いヒントをもらい合う会になってほしい」とお話を締めくくっていただきました。

「共に育つ」を経営理念に掲げ、それを実践し続けた覚悟、自らが学び育ち続けるという強い気持ちを学んだ例会でした。

望月 史生氏(㈱東食品・富士宮支部)

支部長及び組織関係役員80名弱の参加のもと、同友会を深く学び「同友会と企業経営は不離一体」として捉えることを目的として、6月25日(木)ウィンクあいちにて中日本ブロック支部長交流会が行われました。基調講演は、徳島同友会代表理事の山城真一氏による「増える減らない支部、こつこつ続けた秘訣」。1996年に36名でスタートした徳島同友会。2006年の青全交設営のために無理な会員増強をして大量退会者を出した失敗談や、現在、全役員96人中93人が経営指針の成文化を行い、現行の経営指針実践塾でも「同友会の本を読む」「労使見解に感激する」「会員のサポートに感激する」という同友会の基本理念を本籍とする学びにこだわり、例会を通じて会員満足度を高める活動を行っている報告がされました。

続いて「①支部長の役割として企業づくり」「②増える組織、減らない組織」をテーマに行われたグループ討論では、「会員は同友会の理念に共感していないといけない。経営者の学ぶ団体。役を受けて、やらざるを得なかったことが今の財産になっている」「例会作りの過程でのアドバイス等が一つの学びの場」であることや、「支部長は、経営指針を作り、それを実践して示していなければならない。地域を代表する事業所にならなければいけない」など厳しい指摘もされました。基調講演の講師は「同友会運動の本質について、他県や中同協の教えをもらいながら学びの場としてやっていくことが大切である。」とまとめました。中身濃く大いに刺激を受けた交流会の成果をいかに支部活動に生かせるか、責任は重いと感じました。

堀池 勇氏(司法書士堀池勇事務所・榛原支部長)

去る6月18日から19日にかけ、岡山全日空ホテル・岡山コンベンションセンター(岡山県岡山市)にて第18回女性経営者全国交流会が開催され、全国から419名が参加しました。鋤柄修氏(中同協会長)から、省エネと再生エネルギーについての問題提起がありました。6つの分科会では、私は第1分科会に参加し、143年続く和菓子店の8代目を継いだマクドナルド吉延洋子氏(㈲福井堂 代表取締役・岡山同友会)の報告を聞かせて頂きました。御主人はカナダ人で、従業員との軋轢を乗り越えて経営指針を創り、同友会が提唱する「21世紀型企業」を目指している姿に、本当に感動しました。また吉延氏は、女性ならではの視点で、人生観を語ってくださいました。私のお客様にも女性経営者が10名程いますが、女性経営者の社会の中での位置づけとは何かをよく考えさせられました。


記念講演 講師 光畑 由佳氏

翌日の記念講演では光畑由佳氏(㈲モーハウス 代表取締役)が「女性のしなやかさで、未来をつくる」と題し、社会における女性の位置を力強く話されました。生活者の視点を持った光畑氏の、仕事と生活を「分ける」のではなく「混ぜる」という「ワーク・ライフ・ミックス」の発想は、素晴らしいものです。鋤柄氏の問題提起、各分科会のテーマや報告、光畑氏の講演のいずれも時局に合ったものであり、また同友会が推し進める中小企業憲章の理念を体現していく上でもインパクトのある全国大会でした。

近藤 良夫氏(近藤良夫会計事務所・浜松支部)


海野公彦氏(安信運輸㈱)

報告者の海野公彦氏(安信運輸㈱)は、しっかりとした信念・思考を、優しい語り口で話しました。

時代の変化に対応し常に安心と信頼を求め運び続けた半世紀の中で、客先のニーズに答えるトータルサービスへと革新を続ける安信運輸㈱。2~3年後の社長就任を控え、それまでの自己変革が今後の会社のゆくえを担う鍵である、と海野氏は語ります。また、自身の考える「時代に勝ち残る会社の思考(品質)」として、「地域活動を通じた信頼関係づくり」「より高いプロ意識と経験で提案型企業へ」など、地域や人材、社内風土等に言及した10項目を挙げました。

海野氏の報告から、勝ち残る会社に共通する大切なポイントを見つけることができました。これを実行できれば、きっと選ばれる会社になると感じました。

バズセッションでは、全ての業界から労働力不足の悩みが挙げられました。人材確保はそのまま「勝ち残る会社の思考」にかかっていると思います。顧客に満足してもらうことも、会社に人を集めるのも、共に「選ばれる会社」になるということではないでしょうか。

片野 浩一氏(㈲弥生製作所・沼津支部)


杉本 高英氏(㈱杉本商店)

昨年度新たに仲間に加わった、杉本高英氏(㈱杉本商店)の報告でした。自己紹介・会社説明から始まり「畳の魅力を再確認して欲しい」ということで畳の歴史、効能、イグサ以外の素材でできた畳とその特徴など、色々と異業種では知らない内容を話していただきました。また、各種イグサの見本、茶殻配合畳床材、畳工事で使用する道具、畳のヘリで作成した小物入れなど、現物を持参してくれたので、手に触れることもできました。今、会社では「当たり前・普通を大切に」ということで、社員が一丸となって作業に入る前から細部に渡って「当たり前」のことを大切にしようと、挨拶、仕草、客先での細かな所作などいろいろ取り組んでいるそうです。基本の大事さを改めて認識させられる報告でした。

2グループに分かれてのバズセッションは「『ありがとう』と言われる商売(接客)とは?」というテーマで行いました。グループ発表では「感謝の気持ちがわかる人材を育てることが、良い企業づくりにつながる」など幅広い意見が出、それぞれのグループで各々が自社の商売や接客を考える機会になったと感じます。

土屋 順史氏(㈲土屋装飾・伊東支部)

報告者の柳楽洋一郎氏(㈲ゼロ)は、2年前の例会報告後、「防犯はセキュリティシステムが担うもの、という考えに自分は捉われ過ぎていないか」という疑問を抱きます。そして、例会での学びを重ねるうち「広い視野で考えれば、ドライブレコーダーも“走る防犯”ではないか」という考えに辿り着きました。さらにドライブレコーダーは防犯だけでなく、社員の交通事故の減少=リスクマネジメント、さらには会社の社会貢献にも繋がっていくことになると述べ、自動車事故データや、レコーダーに記録された事故の惨状を紹介しました。「ドライブレコーダーなしでは、もらい事故を証明するのは難しく、まして営業車で相手方が地元の方との事故となると強く主張できないなどといった、中小企業ならではのリスクを防ぐこともできる」と説明しました。一方で、社員はレコーダー搭載を「自分逹を管理する為ではないか」と誤解しやすい、と悩みも述べます。柳楽氏はこの事について「逆に社員や家族をも守る防御であり、防御は最大の武器でもある」と語ってくれました。

佐藤 浩美氏(㈲佐藤葬具店・三島支部)