私が同友会、創る会に同時入会させて頂いた2009年は、私自身も会社も本当にひどい状態でした。会社は8年連続貸付残が減少し、売上(利息収入)はピークの四分の一になり、5年連続赤字。当然社長はこのような状況の中、何をしていいのかわからない盲動の状況でした。

創る会で先輩から「こんな状況でも明るく、働いている社員の皆さんがいるじゃないか!」と指摘され、自分は一人ではない、と社員さんたちに本当に感謝しました。特に、いわゆるマチ金融という世間から蔑まれる仕事でありながらついてきてくれる社員さんたちに、誇りを持って「我々業界に対するイメージを打ち破り」働いてもらえるように、この文言を経営理念に入れ、一緒に経営指針を創ることを始めました。

社内全員が理念を共有し、理念に基づき行動を続けると、不思議なことに、弁護士や裁判所の我が社に対する対応が変わってきました。更に、事業定義を「家庭と企業の応援・相談業」と定め、理念と事業定義を軸に行動することで、お客様も以前にも増して、親密にお付き合いしていただけるようになってきました。

そして、理念に基づく経営方針、経営計画を立てました。8年連続の貸付の減少は、事業領域が間違っていたからでした。個人中心の営業から、事業主中心の事業に転換したところ、貸付が増え、計画通り3年目に黒字化を達成しました。

創る会で先輩から、「社長は常に明るく、絶対に諦めてはいけない」ことを学びました。現在は創る会会長として、スタッフ・受講生が仲間の会社のことを自社の問題として考える「場」をつくり、指針をつくり、実践する仲間をさらに増やして続けて行きたいと思います。

経営指針を創る会第6期卒業生 望月 宣典氏(清水クレジット㈱・静岡支部)

3月10~11日に第4回東日本大震災復興シンポジウムが福島・宮城で開催され、全国から162名、静岡同友会からは7名の会員が参加しました。

10日には福島県いわき市に集合し、福島同友会会員の生々しい話を聞きながら貸切バスで国道6号線を北上。帰還困難区域に入ると、原発事故の被害の状況や、五感では知覚し得ない放射能の恐ろしさを感じました。各々が原発事故の現実を目と心に焼き付けた後、宮城県仙台市へ。11日のシンポジウムでは、増田聡氏(東北大学院経済学研究科教授)より「震災復興政策の検証と新産業創出への提言」をテーマとした基調講演、被災3県からの実践報告などの後、グループ討論で学び合いました。

2日間のシンポジウムでは、「強い絆のもと、われら断じて滅びず」という中小企業家の魂、「1社もつぶさない、つぶさせない」という中小企業家の絆、「地域に人を育て、地域に人を残す」という中小企業家の使命を再確認しました。また、この震災からの教訓について、

1.会員企業一社一社が労使見解に基づく経営指針の実践による「同友会型企業づくり」で地域の再生・復興の希望となっていくこと。
2.今こそ中小企業憲章の精神を地域の中に伝え、広げていくこと。地域に新しい仕事をつくり出し、雇用を生み出す地域循環型経済にとりくむことで復興の光となっていくこと。
3.エネルギーシフトの学習と実践。再生可能エネルギーによる地消地産をめざすことで、中小企業の仕事と雇用を生み出し、持続可能で質の高い暮らしと仕事を総合的に地域全体で実現していくこと。
4.自然災害への対応・対策を企業・地域・同友会の中で進めていくこと。企業においては事業継続計画、各地域においては環境適応計画の策定が急務。
5.同友会で学ぶ仲間を地域に増やしていくこと。被災地では同友会の大きさと強さが地域の再生と活性化につながったという教訓に確信を持ち、同友会運動を地域の隅々に広げていくこと。

以上の5点を各地に持ち帰り、後世に伝えていく事を誓い合いました。
 

参加者報告

あれから5年…。私は今回初めて東北の被災地を訪れました。ここ何年かの私は日々の生活に流され東北の復興の現状についてほとんど何も知ろうとせず、どこか他人任せで無関心だったように思います。震災当時は会社の業績が悪く、自社を守る事しか考えられず、少ない義捐金を出す事位しか出来ませんでした。ただずっと心の中で「このまま何もしなくてもいいのか?」と自問自答していた事も事実です。そんな気持ちで参加した今回の復興シンポジウム、1日目のいわき駅からバスで仙台まで海岸線を通過途中での様々な経験は、私の想像を絶するものでした。東京電力の福島原発の廃炉に向けての取り組みはまだ始まったばかりである事実、未だ立入制限区域で、あの日から全く時が止まったままだった浪江町の今の状態、他にも実際に、この目で見て、話を聞いて、肌で感じて、今の被災地の厳しい現実に愕然としました。しかし、そのような絶望的な中でも決してあきらめず、率先して町の復興の先頭に立ったのが我々同友会の仲間だったのです。2日目のシンポジウムでその事をお聞きした時は、心からの尊敬の念と、同じ同友会会員としての誇りを感じ、胸が熱くなりました。

今回参加して一番強く感じた事は、「被災地の復興にはまだまだ時間がかかる」という現実を同友会会員一人ひとりが決して忘れず風化させてはいけない、という事です。そして、ここ静岡でもいつこのような震災が起こってもおかしくないという現実について、もう一度考えなければと強く感じました。

宮本 浩氏(大栄工業㈱・志太支部)


“幸せ創造企業”を目指す服飾製品・刺繍の老舗

殿岡服飾工業㈱

代表取締役社長 殿岡 啓行氏(沼津支部)

事業内容 服飾雑貨製造販売(刺繍全般(名入、オリジナルワッペン)タオル・ハンカチーフ製造販売、イベント用品の企画販売)

設立   1946年4月

社員数  正規 2名・工場パート 15名/自宅パート 50名

入会   2013年10月

所在地  沼津市原271-1

殿岡啓行氏(左)、奥様

独自技法を核に、時代の荒波を乗り越える

殿岡服飾工業㈱は、昭和21年に母である殿岡けい氏が花カットワーク技法・スカラーハンカチーフを開発し、以後70年間、服飾製品・刺繍の生産販売を続けています。「こだわりマスター」が50種類以上の特殊技能で、20以上のナショナルブランド・夢ふくらむオリジナル製品・イベント用品・記念品など、1枚から企画提案をしています。沼津市原地区はかつて縫製業で栄えた地区でしたが、現在は殿岡服飾工業のみ。同社が時代の変化に的確に対応してきた結果でしょう。

支部で指針を学び創った、自社の確たる軸

2013年に入会。その後、沼津支部経営指針を創る会をはじめ各種活動に参加。そこでの多くの人との出会いを通じ、ものの見方や考え方を学び、会社経営に生かしています。多くの従業員が働いているので苦労もありますが、指針の会で得た多くの学び、そして自社の経営理念「従業員の物心両面の幸福を追求・同時に伝統の地場産業とし社会に貢献する」「感動を創造し、感動を伝える」を軸に、自分自身の成長を強く考え「前進あるのみ」の精神力で突き進みます。

今後の展望

1人ひとりのお客様に対応したオリジナル製品を、奥様のきめ細かい目配りと社長の豊富なアイデアで、他社には真似できない個性豊かで温かみのある製品に作り上げていく、殿岡服飾工業㈱。今後の展開について殿岡氏は「工業製品の地産地消・顔の見えるもの作りをテーマに、ナショナルブランド製品の受注製造と並行して自社ブランドを立ちあげ、直接販売を強化していきたい。また、お客様にとって感動と価値のある製品を提案できる“しあわせ創造企業”として、地場産業の継承と地域のふれあいを大切にしたもの作りを『チーム殿岡』として挑戦し続けたい。加えて、企業展示品であるテーブルクロスや幟、記念式典用名入れハンカチなど新事業にも着手していく」と語ってくれました。

 

取材・記事:片野 浩一氏(㈲弥生製作所・沼津支部)

静岡同友会は、2015年度をもって1017名会員に到達しました。3月30日には1000名達成を記念し、ホテルアソシア静岡にて来賓含め総勢95名で、祝賀会を開催しました。


静岡同友会では組織拡大委員会“SHIZUOKAプラス1”(委員長:海野 敦氏(海野サッシ商会・静岡支部)を中心に、「SHIZUOKAプラス1のメンバーが地道に1名ずつ増やす(プラス1)運動の中心となり、1000名会員達成を絶対にやり遂げよう!」との決意のもと、精力的に仲間づくりの取り組みを展開し、2016年3月末時点で1017名会員を達成しました。


開会挨拶を述べる知久正博代表理事

祝賀会では冒頭、知久正博代表理事(㈲知久太田会計事務所・榛原支部)が挨拶のなかで「1000名会員は通過点。この祝賀会は、同時に新たな発展に向けての出発式でもある」と述べました。


中同協幹事長 広浜泰久氏による記念講演

続いて、中同協幹事長の広浜泰久氏(㈱ヒロハマ会長)が記念講演。経営指針や労使見解をはじめとする同友会での様々な学びを自社の計画にまで落とし込んで実践することによる「強靭な企業づくり」、自社の健全経営による発展と地域の発展を不離一体のものとして捉える経営者を輩出する「地域づくり」、これら2つの同友会の使命を再確認するとともに、このような考えを持つ経営者を地域に増やし続けていくという「組織増強の意義」についても触れ、お話し頂きました。

  

  

  

その後は、会員増強に大きく貢献した皆さんを表彰、静岡同友会42年の歴史をスライドショーで振り返った後、新旧を問わず会員の皆さんが語り合い、交流しました。学び合いの上でもビジネスの上でも良き仲間に巡り合う会員の姿が、会場の至る所で見られました。


閉会の辞を述べる井上斉副代表理事

井上斉副代表理事(ワシロック工業㈱・静岡支部)は閉会の辞で「この会員拡大は実を伴った強固な会員拡大であり、これから更なる発展に向けて皆で頑張りたい」と述べ、参加者一同で共に学び合う仲間を更に増やすことを確認し、幕を閉じました。


最後は全員で万歳三唱!!


★組織拡大委員会 正副委員長コメント★


左から、齋藤 寧氏、海野 敦氏、三輪 雅則氏

会員皆様のご協力のおかげで、今期中に会員1000名を達成することが出来ました。誠にありがとうございました。昨年度までの県、支部の地道な会員拡大運動が開花した瞬間と思います。特に、佐藤眞己氏(佐藤燃料㈱・静岡支部)のリーダーシップから波及した静岡支部の著しい増強、創る会の皆さんの協力からの増強、県役員のさすがの駆け込み増強、この機運をそのままに、地道に1名ずつ増やし(プラス1)、県下全域を巻き込んでの県組織拡大委員会になるよう、会員増強を牽引していきたいと思います。これからもご協力、どうぞ宜しくお願い致します。早期1200名達成に向けて同友会の良い点を伝え、会員をどんどん増やしましょう。

海野 敦氏(海野サッシ商会・組織拡大委員長)

私が同友会で学んだ事のひとつに「社長は大きい夢を抱き、その夢を吐く事が大切」という教えがあります。1000名達成が私の夢という訳ではありませんが、高く険しい目標を持つ事はとても大事だと日頃から思っていましたので、目標達成のために私自身ができる事を始めました。祝賀会実行委員長に指名されてからは「達成できなかったらどうしよう」から「達成する!」の思いに変わり、増強への行動も更に積極的になりました。これも高い目標にむかうプラス1の仲間の存在が大きかったと、仲間に感謝しています。

齋藤 寧氏(㈱斉藤組・組織拡大副委員長)

同友会歴3年にも満たない私には、1000名という数字の意義が正直わかりませんでした。しかし、式典で静岡同友会の42年の歴史を振り返り、諸先輩方とお話をするうちに、大きな達成感で、とても幸せな気分になりました。会員が増えることは、「豊かな地域づくりをすること」であり「1000名達成は、更に良くなる出発点である」と考え、これからも仲間づくりを積極的に行っていきたいと思います。

三輪 雅則氏(㈱マルイチ・組織拡大副委員長)