【逸品】伊豆稲取特産のニューサマーオレンジから生まれた新・伊豆みやげ

会員企業名 ㈲飯田店 設立 1909年4月
会員名 飯田 達也 業種 飲食料品卸売業
所属支部 伊東支部 従業員数 社員4名 パート2名
会暦 2015年11月入会 事業内容 酒類、食品、冷凍食品、雑貨

 

稲取の100年企業
 伊豆稲取、相模湾に面した風光明媚かつ温暖な地域に㈲飯田店(いいだみせ)はあります。明治42年によろず屋として創業。昭和30年代に伊豆急線が開通し、温泉地として観光のお客様が増えるようになると、地元のお客様だけでなく旅館・ホテルの取引が多くなり、問屋業へと次第に変わっていきました。

ニューサマーサイダーの誕生
 稲取では、農家が特産品としてニューサマーオレンジという柑橘を開発していました。飯田氏はニューサマーオレンジを何とかして皆に広く知ってもらいたいと考え、市場には小さくて売れないS玉サイズのものを買取り、中をくり抜いて果汁のシャーベットを詰め売り出したところ、好評を得ます。
しかしその後、S玉サイズは種が無いということから、市場で売れるようになります。手元には果汁の在庫が残り、さてどうしようかと思案。そんな中、稲取の異業種7人が「ニューサマーオレンジをもっと売ろう」と集まります。ただ、皆忙しく、メンバーは徐々に来られなくなり、最後に残ったのは飯田氏、造園業(稲取園芸)の山田豪彦氏、観光農園経営(農事組合法人二ッ堀農園)の田村雅彦氏の三人衆。もうやめようか、という声も出る中、せっかくだから何か一つ形として残してからやめよう、ということにまとまりました。
現在でも続く三人衆の会議は、その頃から毎回白熱。果汁フレーバーの天然水のようなものを作ろう、と委託製造してくれるメーカーに行ったところ、話をよくよく聞いてみると先方はサイダーしかやっていないと判明。諦めて帰ろうとした所、先方の社長がサイダーに対する熱い思いを語り始めました。そしてニューサマーオレンジの果汁を使ったサイダーが誕生することになりました。
発注はワンロット500ケース。その量を見た飯田氏の脳裏には「これ、売り切れるかな…」と不安がよぎったそうです。

原材料となるニューサマーオレンジ

 平成22年2月、いよいよ発売。売り出してみると1ヶ月で完売。特に良く売れたのは稲取以外の伊豆地域で、評判を得ると稲取でも売れるように。発売から1年後には「地サイダー」ブームもやってきて増産に次ぐ増産。商品だけではなく三人衆が自ら小売店に出向き、時には棚に並べるというやり方で、取引先も当初20件程から現在は300件程に。当初の味が稲取では不評だったため、途中でリニューアル。果汁3%から10%近くまでアップし、ニューサマーオレンジの本当の美味しさを知る稲取の老若男女からも好評を得られるようになりました。
さらに、次に出した「ふるーつビネガー ニューサマーオレンジ」は、ふじのくに新商品セレクションで金賞を受賞。
 飯田氏は、今後もニューサマーオレンジにこだわらず地域の特産を使用した商品開発をやっていきたい、と話しています。またサイダー売上1本につき1円を積み立てていて、地域貢献のためにそのお金を役立てたい、とも話していました。

ニューサマーサイダー誕生に携わった飯田氏、山田氏(造園業)、田村氏(観光農園)

● ● ● ● ●

取材・記事:守谷 匡司氏(㈱祇園・伊東支部)


原点はフレンチ!? 地場の食材を生かした鉄板焼店

ちお坊

渡邉 千央氏(富士支部)

事業内容 飲食店(お好み焼き)

創業     2013年10月

入会     2016年1月

所在地     富士市横割2-2-271393-1

渡邉千央氏


富士・新富士駅から徒歩圏内の鉄板焼き店

閑静な住宅街にほど近い幹線道路から少し入った場所にある鉄板焼き店「ちお坊」。店主の渡邉千央氏は、頭にタオルを巻きながら厚い鉄板の前に立ち、押し寄せる注文を手際よくさばきます。富士駅、新富士駅から徒歩5分圏内にあり、近隣にビジネスホテルも多いため、富士へ出張に来たサラリーマンの利用が多いとのこと。富士宮「ヨーグル豚」の豚料理など、鉄板焼きにとどまらず地場の食材を生かした料理を幅広く楽しめます。


業界を超えた出逢いを求め同友会に入会

様々な業界の人たちとの出会いを求めていた渡邉氏は、同じく飲食店を営む高田磨人氏(天ふじ)の紹介で2016年1月に入会しました。自身がメインで料理することもあり、なかなかお店から離れられないことを悩みとして挙げつつも、経営者同士の交流や学び合いの中に刺激を受けているとのこと。その上で、更なる刺激を求め、若い経営者の入会に、期待しているそうです。「時代のトレンドを捕まえるには、やはり若者の意見が必要。加えて、そのような情報を捉えるアンテナを張り、受信できる場所に身を置いていなければ、時代に取り残されてしまう」と語ってくれました。


現状にとどまらず、飲食店店主として抱き続ける野心

今後の展望について聞いてみると、将来はお店の移転を考えている、とのこと。それも、レストランバーなど、現在とはまったく異なるジャンルでの出店を考えているそうです。聞けば、元々はフランス料理を勉強していたという渡邉氏。「ちお坊」の料理の幅が広く、見た目も味も絶品である理由はそこにあったのか、と思いました。
最後に将来の夢を尋ねると「日本一の蕎麦屋」とのこと。フランス・ブルゴーニュにそば粉で作る郷土料理「ガレット」がありますが、フランス料理との出会いがこの夢につながったのでしょうか。職人気質を感じさせる渡邉氏の話から、高い理想と、その実現に向かって着実にステップを踏んでいる姿を感じました。

取材・記事:川村 晃睦氏(㈱ダイワ装備・富士支部)


社員を第一に考えることがお客様の満足に繋がる

㈱テクノパック

代表取締役 大場 和洋氏(中遠支部))

事業内容 ティーパックの製造・販売

創業     1985年11月

社員数    正規8名 パート3名

入会     2016年7月

所在地     袋井市新池1393-1

左から大場氏、鈴木氏


ノウハウを生かしニッチな分野に特化

袋井市内で同様の事業を営んでいる会社の兄弟会社としてスタート。以来、創業者の精神を受け継ぎ、堅実経営を続けてきました。茶葉のティーバッグ加工というニッチな分野に特化し、海外から輸入した専用機械を駆使する技術と、自社での維持管理や修理を可能にした高度なノウハウを持つことが強みです。


突然の承継、事業継続に向けて奮闘

2014年6月、創業者の長男である前社長の突然の病により、急遽後継者として白羽の矢が立ったのが大場現社長。一族でもない自分がトップになるとは思いもよらないことでした。しかし共に働いてきた社員のため、会社存続を第一に考え社長就任を決意。折からの茶葉需要の減少により受注量も右肩下がりの中での引き継ぎで、何をすべきかもわからず、目先の問題に必死に取り組んだ毎日だったと振り返ります。
「まずは会社をつぶさないこと」という大場社長。それまで力を入れてこなかった営業活動を行い、新規受注を得る努力も始めました。顧客が何を求めているか理解し、すぐに対応することを心掛けています。また本来のティーバッグの市場は縮小していますが、伸びている粉末茶の方にも手を広げていく計画です。将来自分がいなくなっても存続していくよう、会社を軌道に乗せていきたいと考えています。


お客様のため、社員のために経営者として成長していく

 会社の自慢は「社員」。皆仲が良く、会社や仕事のことを真剣に考えてくれている人ばかりとのこと「社員が充実して仕事に集中する環境を作れば顧客に満足していただける商品を提供できるはず」。社員第一の姿勢を貫くことが大切という信念です。
 現在の悩みは工場が手狭なこと。機械が増えていますが拡張はなかなか難しい、また社長としての成長も課題だと大場氏は言います。「同友会に入って間もないですが、経営者の考え方や物言いが少しずつ分かって来た気がします。同友会は自分を成長させる場所です」と同友会への思いを語ってくれました。

左から大場氏、鈴木氏

取材・記事:鈴木 弘之氏(税理士法人 あい会計・中遠支部)