【逸品】オンリーワンを求めて

会員企業名 ㈱エムエス・パドック 設立 2008年
会員名 勝俣 俊明 業種 サービス業
所属支部 御殿場支部 従業員数 正規1名、パート6名
会暦 2018年3月入会 事業内容 モータースポーツのサポート事業

モータースポーツからのスタート

 北に富士山、南に箱根山を望むのどかな景色が広がる、駿東郡小山町一色。この場所でモータースポーツのサポート事業を営む勝俣氏は「家は農家で米を作っているので、儲からなくても飯さえ食えればいいかな」と、笑顔で呑気に語り始めました。元々は自動車レースのドライバーでもあり、メカニックだったそうです。当時はラリーの世界選手権のチームエンジニアとして帯同することや、FSW( 富士スピードウェイ) ではセーフティーカーの専属ドライバーを数年間任され、現在は後任の若手を育成するために、指導者(インストラクター)として競技役員を担当しているそうです。また、K4-GP(軽自動車で行うアジア最大の草レース。2018年8月13、14日開催)では、主催者として企画運営を行いドライバーとしても活躍しました。そのような経験からFSWの役員の方たちに声をかけていただき、設備の環境整備について、ある相談を受けることになります。そのミッションとは「アスファルトのタイヤ痕の除去」。F1レースができるコースグレード1の環境を整えることです。


信用・信頼される企業へ

 勝俣氏は期待に応えるために試行錯誤を続け、他社には追従できない技術力を身につけ、取り組みました。一時、勝俣氏が入院をした際は他社が対応したのですが、結局全てやり直しとなり、勝俣氏の退院後に改めて依頼を受けることに。そこでさらなる信用と信頼を得ることとなりました。その後は、テレビ撮影で使用するために40年前のプールを新品に近い状態にする整備や、県外の公共施設や駐車場の整備の依頼も請負いました。その他の事業としては、国際レースの主催者をサポートし海外チームの宿泊先、移動バス、食事の手配などをケータリングしています。その際、国によっては食材の配慮を心掛けたり、お好みの美味しいものをサプライズで用意したりなど、相手が笑顔で喜ぶことをスタッフと共有し、楽しく取り組んでいるそうです。


世代を超えたつながり

 整備事業は20代半ばのスタッフが中心。一緒に仕事のやり方を教え、変化を体感してもらうため、OJTで行っています。食事を共にする際にも経験談を交えコミュニケーションをとることで信頼関係が築き上げられ、募集広告など宣伝をしなくても仲間を紹介してくれる環境が整っているそうです。ケータリングのサポートでも、60代のベテラン主婦から若手のキャンペーンガールまでをとりまとめました。年代を超えて学び合い吸収し合うことで、お互いが笑顔で取り組むことができるそうです。

作業の様子


同友会で学ぶこと

 同友会には、出会いと学びを目的に入会したそうです。中小企業は“井の中の蛙”になりがちですが、同友会では様々な同志と知り合うことで視野を広げることができます。また、抱える課題は後継者問題や従業員の育成問題など共通しているので、課題解決のために共に学び合うことができます。そんな良き仲間たちと一緒に勉強して“井の中の蛙”から脱却することを目指しています。今後は会社の拡張は考えておらず「出会った人が笑顔になり嬉しく思ってもらえればそれで良い」と語る勝俣氏。関わる人々が喜びを感じとれるのも勝俣氏の笑顔が導く力だと感じました。今後のさらなる活躍が楽しみです。

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取材・記事:片野 貴一郎氏(㈱モスク・クリエイション・御殿場支部)
取材:米原 誠氏(クリーニングのオリーブ・御殿場支部)
   加藤 正弘氏(アットハウス・御殿場支部)
   菅沼 良将氏(玉穂木材工業㈱・御殿場支部)


地域密着・親切丁寧・最新の情報を備え、地域に身近な存在を目指す!

エルアンドビー総合保険㈱

代表取締役 植田 哲也氏(榛原支部)

事業内容:保険代理業(損害保険・生命保険)

設立:2010年1月

社員数:3名

入会:2016年8月

所在地:御前崎市御前崎103-56

URL:http://www.landb5555.com


専門性を活かし、他社との差別化を図る

 地元を離れて共済の仕事をしていた植田哲也氏はある日、前代表者から「一緒に保険代理店の経営をしないか」と誘われます。これが、エルアンドビー総合保険㈱の始まりでした。商圏だった旧御前崎町は農業や漁業従事者が多く、保険については専ら農協・漁協からの加入がほとんどでした。地域の中では後発組だったため、知名度を上げることに注力することと同時に、他社では稼ぎ頭である個人家庭向けの自動車保険ではなく、地域柄、火災保険・地震保険の提案や新種( 賠償責任保険、レジャー保険等)の案件、法人向け保険の提案等を行い、専門性を活かす代理店を目指していきました。その後、2013年に前代表者から経営を任され、現在に至っています。


自社と向き合う中で、本当の課題に気付く

 「同友会へは取引先である小塚辰巳氏(小塚建設㈱)から紹介を受け入会しましたが、当初は社員を活動に参加させていました。しかしある時、植田氏自身が参加したところ、同友会は経営について学べる場だということを知ります。それからは支部例会や支部委員会活動に、自身が参加するようになりました。
 支部委員会では、各社の経営課題を話し合う機会があり、活発な意見交換がされていました。当時の植田氏が抱えていた課題は、男性社員が定着しないことでした。そんな折に、支部例会で県経営指針を創る会(以下、創る会)修了生の報告があり、経営指針書の存在を知ります。当日参加していた創る会会長の望月宣典氏(清水クレジット㈱・静岡支部)の勧めもあり、第14 期創る会を受講することになりました。「設立当初に共同代表者と一緒に策定した経営理念はあったものの、経営を自分一人で担っていくうえで何か変えていかなくては、という気持ちもあったのだと思う」と植田氏は言います。創る会は、改めて自社を見つめ直し、自分と会社、地域、社員と向き合う機会となりました。また、受講生同士で学びを深めていくうちに、課題と考えていた男性社員の定着についても、そのこと自体が問題でないことに気付き、自社の経営理念を創り出し、経営指針書を完成させることができました。


ローカルと最先端の繋ぎ役を担う!

 経営理念は、社員に常に説明をして共感を得られるよう努力しています。その甲斐あってか社員のプロ意識が高く、社長である植田氏の方がプレッシャーを感じる程の職場になっていると言います。社員は女性のみですが、子育て・介護を両立できるよう社員の技能を高いレベルで均一化させ、誰が抜けてもフォローしあえるよう女性の働き方を意識した職場づくりに取り組んでいます。これからも専門性・迅速性・親密性を持った保険代理店として地域の方々に頼っていただける身近な存在を目指し、保険以外にも安否確認やレンタカー等、地域性にかなった新しいサービスを取り入れ、ローカルと最先端の繋ぎ役として地域に役立つ存在を目指していきます。

取材・記事:中川 泰典氏(遠州工機㈱・榛原支部)


理系出身の視点を武器に顧客を支える税理士/公認会計士

飯野明宏税理士公認会計士事務所

代表 飯野 明宏氏(富士支部)

事業内容:税務代理・経営コンサルティング

設立:2017年6月

入会:2017年9月

所在地:富士市横割2-3-27

URL:http://akihiroiinocpa.win

富士市横割にある飯野明宏氏の事務所を訪問し、会計士を志したきっかけや自社の強みを伺ってきました。


人生を模索したどりついた公認会計士の道

 高校時代に医師を目指して勉強に励んでいた飯野氏は、予備校時代に考えを変えて生命系の工学部に入ります。この時は研究者を目指していましたが、細かい作業があまり得意ではないことから自分には不向きと思い「好きな数字を使う仕事で何か無いか」と経済学部や商学部の友人に相談します。そこで「会計士という仕事がある」と知り、猛勉強を始めました。大学卒業後、会計士の勉強をしてから大学院に入り、1年生の時に試験に無事合格。このように、自身の歩む道を模索しながら、公認会計士という職業にたどりついた飯野氏。監査法人で4年実務を経験したのち、東京の税理士事務所でさらに経験を重ね、2017年6月に富士市内に飯野明宏税理士公認会計事務所を創業しました。


同友会との出会いと現在の課題

 中小企業経営者の団体を探していた飯野氏は、同友会のWebページを見つけました。調べてみたところ、真面目に勉強できる会だということや、事務所の周辺に知っている会員が何名かいたことから、すぐに入会を決めました。
 現在の課題は「コンサルタントをしながら会計事務所を経営したいが、方向性がまだ定まっていない」とのこと。これについては、今年度富士支部の経営指針委員会に参加し、メンバーと共に自身の想いや自社の方向性を模索しています。また、現在は基本的に一人で業務をし、忙しいときには両親に手伝ってもらっている飯野氏ですが、今年度中には税理士を目指しているような人と一緒に仕事ができるような環境づくりにも取り組んでいます。


お客様を取り巻く未来を予測し、課題解決に取り組む

 「事業承継」が中小企業にとって大きな課題となっている現在、特例事業承継関係に力を入れている飯野氏は「平成30年4月に税制の変更があり、事業承継に関する制度が大きく変化している。事業承継に悩んでいる方には一人で悩まず、まずは気軽に相談してほしい」と話してくれました。
 また、理系出身であるため技術やテクノロジーを理解し、お客様を取り巻く未来を想像できる点を自身の強みであると言います。監査法人時代の経験から、単なる数合わせのための会計ではなく、使えるデータとしての会計情報を総合的に分析し、そこからの示唆、すなわち得られたデータを総合的に分析し、未来を予測しながら意思決定の支援をすることが出来るそうです。
 ちなみに飯野氏は、仮想通貨に関する特集のゲストコメンテーターとして静岡県内テレビ番組に出演するなど、コメンテーター・講師としても活躍しています。自身の経験を生かし、技術とテクノロジーで未来を見据え、多くのフィールドで活躍している飯野氏に、大きな期待と可能性を感じました。
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取材・記事:渡邉 正仁氏(㈲丸之工務店・富士支部)