【シリーズ憲章】2010年9月号第29回

カテゴリー:中小企業憲章

2010年9月号【第29回】 憲章理念を経営にどう反映させるか 市川正樹氏((株)市川製茶工場・伊東支部)

 

早いもので同友会に入会して4年になります。入会後3年間は自社の業務とその他の法人会・商工会議所の仕事に追われ、中小企業憲章に対しての関心は低かったというのが正直なところです。地球環境委員会や理事会に出席するようになって、中小企業憲章とは、日本の産業を支える日本の90%を越える中小企業の言わば憲法であるという事がわかってきました。
今年で終戦65年目を迎えました。終戦の日から焦土と化した日本の復興をしていく上でも、大企業に対する優遇措置は必要不可でした。戦後60年以上たった現在においては日本の産業を支え、国民の生活基盤を支えていく中小企業の重要性と中小企業を守る中小企業憲章を合理的に融合させていくことが大きな課題だと考えます。
過去3年間に補助金を申請したことがある中小企業はわずか8.6%で大企業が利用の大部分を占めています。一定の条件を満たせば支給される雇用調整助成金などの助成金に比べ、中小企業、特に従業員数50名以下の零細企業をとりまく環境は厳しく、憲章の理念に沿った補助金や融資はもとより中小企業にとって新たな支援策が急務だと考えます。
民主党は参院選のマニフェストで中小企業向けの法人税率の軽減を盛り込みました。税率の引き下げは歓迎しますが、この不況で多くの中小企業は赤字で、減税したとしても効果が少ないと思われます。政府は6月に中小企業憲章を閣議決定し、中同協の草案もかなり盛り込まれているようです。どのような問題においても中小企業の立場で考えていくと支援姿勢を鮮明にしています。
ただし、あくまでも憲章は理念です。この理念を具体的に政策や企業経営に反映させるために、政府と我々中小企業家が同じ方向を向いて、中小企業の安定と発展について考え行動していかなければならないと思います。