今回の報告者である半場久王氏(㈲富士電機工業)は、家業である自社に入社後、その内情に触れていくに連れ、自社を取り巻く外部環境の変化に対応出来るよう変革をしていくべきではないか、との思いを強くしていきます。しかし、変革の必要を感じない社長と衝突。その後の社長と社員の衝突や、その間に入り調整する半場氏の苦悩、そして「社員の為に会社を変えたいから、事業承継を早くして欲しい」という思いが伝わる半場氏の報告でした。
年代や立場の違う中、自社の事業承継をどうするかを問うバズ・セッションでは、承継する側とされる側の双方にある想いを互いに理解し尊重する事の大切さや、互いに真正面から向き合って納得のいくまで話し合う事、社長と社員がそれぞれに相互理解に努めればそれだけ会社の持続可能性は高まる、という意見が出ました。
事業承継は、立場ごとにそれぞれの想いがあり、それが故に「こうすれば上手くいく」という模範解答は無いのだと思います。ただ、会社の持続可能性を考えると、経営者の身内だけを経営主体に限定するのではなく、従業員をも含めて広い視野を持って経営を捉え、労使見解の実践や理念の共有・浸透、経営計画の策定と実践に邁進し、社内に広く「想いの承継」をしていく事が大切ではないか、と考えさせられる例会でした。
田中 玄徳氏(㈱さなえ・沼津支部)
● ● ● ● ●