【私の逸品】“お客様を驚かせたい”気持ちで、人が集まる場所づくり (株)時之栖 永井 孝之氏 御殿場支部

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【写真】(株)時之栖 取締役ホテル事業部長 永井 之氏

【逸品】噴水ショー

会員企業名 (株)時之栖 設立 1994年
会員名 永井 孝之 業種 温浴、ホテル、食品加工販売、レストラン事業
所属支部 御殿場支部 社員数 980名(全施設合計、正社員約180名)
会暦 2014年4月入会 事業内容 ホテル・温浴業、スポーツ施設、飲食業、テーマパーク

 

今月は御殿場支部の「株式会社時之栖」を尋ねました。「時之栖」と言えば、富士山を一望する広大な敷地に、御殿場高原ホテルをはじめとする各宿泊施設、地ビールをはじめとしたレストラン・お食事処、温泉施設、スポーツ・アクティビティ施設、ショップなど数多くの施設を運営し、毎年進化し続けている会社です。特に冬季のイルミネーションは全国的にも有名で、一度は訪れたことがある方も多いのではないでしょうか?

今回は支部会員である取締役ホテル事業部長、永井孝之氏同行のもと、㈱時之栖 代表取締役 庄司政史氏に“逸品にかける想い”を語って頂きました。


1.「お客様に驚きを」の思いが具現化した噴水ショー

時之栖には、逸品と言えるものは数多く存在します。その中から今回の取材で思いを語って頂いたのは、「ヴェルサイユの光」と名付けられた噴水ショーです。
冬季に開催されているイルミネーションは13年前から行われていますが、「その幻想的なイルミネーションの光景に加え、更なる驚きをお客様に提供したい」という思いから、6年前に始まったアトラクションです。

名前の通りフランス・ヴェルサイユ宮殿の庭園で行われている噴水ショーを、「フランスへ行かなくても、御殿場でお客様にお見せする」というコンセプトで始まりました。フランスから専門のエンジニアを招き、見事にヴェルサイユ宮殿で行われているショーを再現したそうです。

鮮やかなイルミネーションの長いトンネルを抜けた先に現れる噴水ショー。光・音・噴水の動きがコラボするこのショーは、イルミネーションの「静」と、噴水の「動」を楽しむ、お客様に対する新たな「提案」として生まれたアトラクションです。

開始から6年たった今では、公演で使われている曲もオリジナル編曲がされたものになり、光のライティングや噴水の装置も年々新しくして、リピーターのお客様がまた驚いてもらえるように、進化するアトラクションとなっています。


2.社員一丸となって「お客様に驚きを!」

年々進化し、新しいプログラムで公開される噴水ショー。そして毎年彩りを変え、テーマを変えて、眩いばかりの光を放つイルミネーション。これらのアトラクションを作り出す活力は、やはり「お客様を感動させたい、驚かせたい」という思いだそうです。

取材を進める中で驚いたのは、毎年変わるあの“時之栖のイルミネーション”は、テーマ決めなどの企画から、LED電球の発注・輸入、そして設営まで、専門的かつ危険な部分を除いて、ほとんどが時之栖の従業員の皆様の手によって行われていると言う事でした。イルミネーションの設営だけでも、1か月前から電源工事を進め、枠組み作り、LED電球の飾り付けなど、時には各部署から従業員のみなさんが集結して作り上げているそうです。

お客様に驚きを与え、喜んでいただきたい…。そんな想いが皆さんの中に息づいていると感じました。


3.新たなる展開「地域で作るテーマパーク」

まさに「全社一丸」で「お客様の感動、驚き」を作り上げている時之栖ですが、すでに次の展開がスタートしていました。それは「地域の皆様が作るテーマパーク作り」。


イルミネーションの長いトンネルを抜け、噴水ショー「ヴェルサイユの光」へ向かう間がそのスペース。そこは「富士山ヒカリの国フェスティバル」と名付けられたエリアで、近隣の企業・団体・学校などが作った、力作のイルミネーションが今年は26作品展示されています。平面的なものから立体像まで、地域の方々が思考を凝らして作成した、参加型イルミネーション。1シーズンに50万~60万人に上る来場者の皆様に、“御殿場”という地域をアピールしています。「さっぽろ雪まつりのイルミネーション版です。地域の人たちもイルミネーション作りに参加して頂き、さらなる楽しみとして頂ければ嬉しいので。今年はまだ26作品ですが、いずれは50作品くらい並べてコンテストを開催したいです」と語る庄司社長。中小企業家同友会御殿場支部も、来年は作品を出品している・・・かもしれません。


4.大切なのは“人が集まる場所づくり”

取材中、庄司社長が特におっしっていたのは、「噴水ショーやイルミネーションそれぞれが“逸品”ではなく、温泉や地ビール、ホテルを含めたすべての施設が融合し、お客様に感動や驚きを与え、時之栖を楽しむことで日常の活力を養っていただきたい。そしてまた、この時之栖に戻ってきて頂きたい。」と言う事でした。



そもそも「時之栖(ときのすみか)」という言葉は、「時が住まう場所…渡り鳥が巣立ち、また翌年には同じ場所に戻ってくる様に、お客様がまた戻りたくなる場所」という意味があるそうです。


イルミネーションや噴水ショーは一つのコンテンツであり、それぞれ素晴らしいものですが、それだけでは時之栖の理念ではないそうです。そこに気楽坊や茶目といった温泉施設、施設内各所に点在する宿泊施設が存在する。近隣に住む私たちも参加し、みんなで作り上げる「テーマパーク」にする。



遠くから来たお客様、近くに住む我々、そして働く人々。様々な人が集い、楽しい時間を共有する事が、時之栖の理念なのだ!と勝手に感動した筆者でした。

取材・記事:大川 隆久氏(フヱタ工業(有)・御殿場支部)
取材・写真:片野 貴一郎氏((株)モスク・クリエイション・御殿場支部)