本年6月から開講した第9期経営指針を創る会。毎月の講義を重ね、第5講「数値セミナー」が開催されました。これまで受講生は、自社の内部・外部環境分析や経営理念の作成に取り組んできました。経営理念を確立させ、経営方針を立て、そして経営計画へ進み、“経営指針”を完成させていきます。今後、数値目標を立てていくために、数値の理解ならびに自社分析に役立てることを今回のセミナーで受講生は学びました。

 講師の望月宣典氏(清水クレジット㈱ 静岡支部会員)は、複式簿記の考え方、財務諸表(貸借対照表・損益計算書等)の見方を、練習問題を用いながら受講生に説明。「単に数値を社員に伝えるだけではなく、数値の意味も併せて社員に伝えている」と語り、会計の基本用語とその考え方を伝えました。

 

『謙虚に学びあい良い経営者になろう』という言葉そのままに、実践遂行を続けている県代表理事、沼津支部の藤原氏に報告して頂きました。

 同友会との長年の関わりを伺いましたが、今あるのは何よりも愚直に人の「真似」をし「実践」し続けている事に集約できると感じました。事の始めは経営指針書作成だったようですが、良いと思った事はまず真似をして自社に取入れで実践する。たとえ新入社員からでも真似てきたという徹底した謙虚さが、ご存知、お人柄の評価にまで及んでいます。

 真似る事は学ぶ事の根源であり、冒頭の言葉に叶っています。学び方を学ぶ場でもある同友会、藤原氏の学び方はまさに我々が学ぶべき好例と確信できました。

 

 そして懇親会は、過去最高31名の参加を得て藤原氏を囲み、今ひとつの学びを得たのでありました。

小林 修氏(㈱ジープロシューマーズ)

 

 8月21日(水)サンウェル沼津にて沼津支部8月例会がおこなわれました。参加者数約70人と会場は会員さんの熱気に包まれていました。

 報告者は㈱トライ・カンパニー 水田裕文氏(代表取締役副社長)。

 平成2年4月に沼津港湾の倉庫の一角で創業した同社。県内では保冷剤の製造をする先駆け的な会社でした。同じく沼津港で㈱芹澤パッケージという包装梱包資材や厨房道具などを販売していた会社の芹澤順一社長が、パッケージの展示会で「保冷剤を製造する機械」を見つけ事業化に動きました。

 沼津の干物加工屋から、グルメ街道のお土産屋、伊豆半島の水産加工品、浜松のうなぎ加工業者などから営業を始め全国に広がりました。とにかくゼロからのスタート。すべてがトライでした。

 創業から8年後、3名の代表体制に変更。社長は財務総務を始め、会社の顔として社風づくりなどに取り組む。水田副社長は生産活動、販売活動を行う。専務は開発から海外事業を手掛ける。

 昨年の震災後には、光触媒を利用し水がくさらないタンクの生産で売り上げを大きく伸ばしました。また、昨年にも増して節電の必要性が取り上げられる中、保冷剤の需要はますます増えています。

 様々なタイプの保冷剤の開発秘話なども聞け、決して成功だけで今のトライカンパニーがあるわけではないと報告しました。 

ものよし、人よし、価格よし。笑顔があって、元気がある。トライカンパニーは今後もトライし続けます。

 

「同友会を知ってもらうためのセミナーです。1000名の組織にしたいと活動しています。」藤原組織拡大本部長のあいさつから、8月のイントロセミナーが始まりました。新会員4名、オブザーバー2名、そして榛原の役員、県スタッフら15名での開催です。知久正博氏は「同友会と私」の報告で、会の理念に共感したこと、当初は見えなかった自主の意味、初代支部長と共に創ってきた榛原支部の20年の軌跡を振り返りました。知久氏は、支部の活動だけでなく全国大会に参加することで、もっと同友会の良さを実感できますと、三大行事への積極的な参加を呼びかけました。

グループ討論のテーマは「各社の優先課題は何か」、新規顧客開拓、既存顧客へのアプローチ、人材育成など共通した課題が出されました。解決を図るために、どのように取り組んでいるのかが話し合われ、討論発表後には軽食を取りながら、自己紹介と感想の交流。温かな意見交流が行われ、より存在が身近になり一緒に勉強したいと、オブザーバーのお二人から入会の意思が表明されました。

5期「経営理念を作る会」に参加して

50歳になり会社をもう一度一から見直そうと思っていた時期に同友会に入会しました。経営指針を創る会があることを知り、すぐに参加しました。

その年の9月にリーマンショックがありました。丸山講師に売り上げが○○パーセント落ちても大丈夫な経営計画に作り直しなさい。と言われました。その後30%ダウンで、通期でも15%ダウンでした。手をうてないまま赤字転落。翌年も赤字でした。こんな経験はないとお客様もおっしゃいました。

一昨年からやっと黒字基調になりました。コンピューターはデジタルですが、人のやることはアナログです。我々はアナログを磨くことでこの時代を生き抜けると思います。今、改めて経営理念を元にした経営が大切だと思います。

スタッフとして参加させて頂くと受講生の時と違い客観的に見えます。もがき苦しんでいた自分がそこにいるので、自分の事のように意見が出せます。創る会の良いところはそういうことではないかと思います。今の自分の悩みをさらけ出して初めて気がつくことがたくさんあります。

どうしたらいいか迷っていたら迷わずやってみること。答えはその後に来ます。後で考えれば「あ、そうか」と単純ですが、それが分からないから悩みます。みんな同じだと言うことにも気がつきます。

おかげさまで予算とほぼ同じ決算を出させて頂いていますが、これも創る会のおかげだと思います。今、道のりは遠いですが、社会貢献のできる会社を目指しています。みなさんも創る会で学べば、気づきが深められ迷いや悩みが晴れるのではないかと思います。
     
                        5期作る会 受講生 原山雅光

 

 

 

 

 

 

 

 

静岡同友会は8月8日(水)、静岡県経済産業部と意見交換会を実施し、県内中小企業家を取り巻く経営現状の認識共有ならびに中小企業憲章の精神を生かした中小企業振興基本条例(仮称)の制定、また中小企業施策へ官民協同で取組んでいくことを要望しました。吉林経済産業部長をはじめ県11名、同友会は7名が出席。

冒頭、遠藤一秀代表理事(遠藤科学㈱)は、県内製造業に関連する産業動向の現状認識を鉱工業や工業生産指数を例に話し「経済の内発的発展の基盤である中小企業の育成を重要な柱とする施策推進に期待する」と挨拶しました。

 また業界動向として同友会側から5名が経営現状を報告し、県側と交流を深めました。会員企業からは「県内に留まらず県外進出。海外も視野に入れざるを得ない」(製造業)、「安全な職場環境に改善、ピンチをチャンスに捉える」(印刷業)、「少子化や世帯数、また平均所得の減少への対策必要」(教育)、「地産地消を食育に生かしていきたい」(水産加工業)、「同業とのすみわけや差別化が大切。また許認可事業の障害と緩和」(廃棄物処理業)など報告しました。

 同友会の意見要望をふまえ県からの回答では、官民協同の意見交換を今後も実施、県の施策を伝える機会に捉え、双方向で今後も交流していく旨が確認されました。

 

 

積極果敢にチャレンジし、人や企業と繋がって、あらたな仕事を生み出している東京墨田の町工場、浜野製作所の浜野社長をお訪ねしました。レーザー加工・精密板金・プレス・金型加工、試作品から量産品の穴開け、折り曲げ、溶接を行い製品づくりしています。受注表をもとに作業にあたる若い社員さんたちに交じって中学校の先生が実習中、せっせと製品をつくっていました。引きも切らない地元学校からの見学申し入れ、一ツ橋や早稲田大学のインターンシップ受け入れ、大手企業の視察もあって浜野社長は過密なスケジュールをこなしています。

3S活動を推進している工場内は、機械・器具など所定の場所に保管され、整理整頓が行き届いています。チーム制での改善取組みにより、さらに効果が出ています。

墨田の町工場は現在3100あまりに減少、その中でも元気な企業が行政・大学とコラボ。浜野製作所は、電気自動車や深海探査機の開発に携わっています。また今年から“アウトオブキッザニア”で、下町すみだのモノづくりを子供たちに職人体験してもらう企画に賛同、ステンレス製のスカイツリーを作ってもらっています。同伴してくる保護者や兄弟のために“手作りメタルロボ”を販売し大好評で、浜野氏のアイディアが枯れることはありません。

かつて、予定していた面接をためらって会社の前で引き返した姿を見て、ショックを受けた浜野社長でしたが、発想力が豊かな若者が入社してくるようになり、次世代を担う人たちが夢や未来を感じられる企業になってきました。

「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である」中小企業憲章が閣議決定されて2年が経ちました。7月特別例会は全国で憲章例会を行っている杉村征郎氏(中同協中小企業憲章・条例推進副本部長、志太支部)が報告しました。同友会は企業体質の強化と経営環境の改善を車の両輪と捉え、中小企業を軸に据えた経済のあり方の認識を深め、憲章の描く社会の実現を目標に活動しています。中小企業の安定した繁栄は地域経済を支え、従業員やその家族の暮らしを守ることに繋がります。杉村氏は北海道帯広の条例制定にも触れ中小企業振興基本条例の制定を推進していくためには、まずその地域の会員組織率を10%にすることを目指し「条例づくりに向けた学習を会内で行い、そして行政や他団体と意見交換することが大切」と語りました。