講師:玄地 学氏
(東洋産業㈱代表取締役・中同協経営労働副委員長・宮城同友会副代表理事/経営労働委員長)


東洋産業株式会社

設立:昭和60年5月8日

資本金:1,800万円

事業内容:ビルメンテナンス製品、フードサニテーション製品、ヘルスケア製品 卸売


経営理念:

一、私達は、「くらしのきれい」を創造しかけがえのない生命を守ります。(科学性)

一、私達は、「自然が芽生える環境づくり」で地域社会に貢献します。(社会性)

一、私達は、お互いを認め、共に学び人間として成長し続けます。(人間性)




記念講演を聴いて

玄地氏は、当時社長であった父君がM&Aを行なったライバル企業の経営再建に取り組み、その後、経営指針の成文化と実践を積み重ねてきた軌跡を語ってくださいました。

いわゆる「敵陣」に単身で乗り込み、社員の信頼は皆無、ビジョンも仕組みも無く、どこが問題かと言えば全てが問題、という中で、全てを一新するために孤軍奮闘して再建に取り組む苦労は、想像以上だったことでしょう。玄地氏の熱意と行動によって徐々に再建の道が見えてはきたものの、同時に個人としての限界を感じていきます。その時に玄地氏は同友会と出会い、同友会での学びの中で「経営指針による経営」に取り組むことになります。



講師 玄地 学氏

話のポイントは、①異業種での学び、同友会の素晴らしさ。②社員との共感。③成果を出す仕掛け。④成果を持続させ企業風土にしていく仕組みつくり。以上の4点でした。

①異業種での学び、同友会の素晴らしさ

玄地氏は、同友会の「創る会」で異業種の会員から、自分とは違う視点からの厳しい指摘を受けます。この事を経て、自社をより深く見つめることが出来、自社の事業を正しく定義づけることが出来ました。これは、同友会で無ければ得られない素晴らしい学びがある事の現れであります。

②社員との共感

最初に考えた理念を「社員の笑顔が見えない」「上から目線」と指摘され、玄地氏はショックを受けます。時に、経営者も社員も問題の当事者であることを忘れて、他人事のように外から批判することがあります。経営者の場合はその時まさに「上から目線」であり、そのような姿勢でいくら綺麗な言葉を並べて理念や指針を打ち立てても、社員の心には届きません。玄地氏はその指摘から、社員と共に創る重要性を感じます。今回の講演の中で特にこの件は、大変興味深いものでした。

③成果を出す仕掛け

玄地氏は、「取引先や金融機関や同友会会員を招いて発表会をすることが成果に繋がる」という自身の事例を挙げました。このように仕掛けを作ることで、経営者の熱意と本気を内外に示し、責任者として自分を追い込んでいく事になります。玄地氏のこの姿勢からは、結果を出す気概と覚悟を感じました。

④成果を持続させ企業風土にしていく仕組みつくり

指針型経営で成果が出ても慢心せず、継続して成果を出せる体質づくりをしていく事が重要です。社員と一緒に「企業変革プログラム」を実行することで、PDCAのサイクルを回し、指針を磨き、成果を高めながら企業風土にしていく事が出来ます。

昨年度末、静岡同友会では指針実態調査を行いました。より多くの会員が経営指針を創る事は重要ですが、一方で、せっかく指針を創っても十分に成果を出せていない会員がいることも事実です。

この講演をきっかけに、多くの会員企業が指針型経営を実践して成果を出し、同友会の魅力を発信する「輝けるスター企業」に成長してくれることを期待します。

鈴木 雅夫氏(副代表理事 ㈱ハチマル・榛原支部)

4月2日(水)、県共育委員会主催の合同入社式を行いました。今年は37名の元気な新入社員が、静岡のもくせい会館に集まりました。



山崎かおり氏による記念講演

記念講演は静岡支部の㈱山崎製作所の山崎かおり社長から「夢はあきらめなければ必ず叶う!」と題し、未熟さも含めて自分の存在を承認することが、他者の承認や自身の成長につながるということ、夢は思い続け、取り組み続ければ、時に形は違えども必ず叶うということ、コミュニケーションの上では相手の立場を理解し話の本質を汲み取ること、ポジティブな言葉を使い続けることなど、新社会人が未来への一歩を力強く踏み出せるような、勇気の湧く講演をして頂きました。

続いて、先輩社員の言葉として三島支部のバリュー・トーカイ㈱の小川真弘さんから「1年後の自分」と題し、失敗を恐れずチャレンジし、そこから学ぶことの重要さや、メモの取り方を含めた細かな業務上でのアドバイス、振り返りの大切さ、指導してくれる先輩や上司への感謝など、成長をテーマとした熱いメッセージを頂きました。

新入社員は、お二人の話の感想についてバズセッションを行い、参加者全員がそれぞれに感じたこと、バズセッションを通じて考えたことについて発言しました。そして沼津支部の㈱日本ベルト工業の髙遠康平氏から、新入社員を代表して頼もしい決意表明を頂きました。



桜の下で記念撮影

最後に参加者全員で桜の木の下で記念写真を撮り、気持ちも新たに社会人としてのスタートを切りました。


続いて4月2日(水)~3日(木)、㈲声の杉山静江氏、エスティーアイ・コーポレーションの西條浩氏を講師に行われた若手社員研修には20名が参加。



若手社員研修会の様子

第一講座ではビジネスマナーに関する研修を行い、テキスト解説の他に名刺交換と電話応対のロールプレイを行いました。第二講座では社会人として仕事をする時の基本手順の解説と、セルフコミュニケーションスタイルで各自が傾向を把握。グループワークを通じて、共同作業における自己の役割と責任について体験学習をしました。



研修を終え記念撮影

一泊二日で行われたこの若手社員研修は、座学以外にも時間を守る事の大切さや、社会人としての集団行動について学び合いました。また、研修の最後には、参加者全員が仕事の分野・対人関係・自己啓発のそれぞれについて決意表明を発表したのですが、「どのような場面においても自らの主体的な姿勢が大切」ということを認識した発表が多く見られました。

山田 誠司氏(県共育委員長 ㈱メイコー・静岡支部)

~製品と製品をつなぐ、人と人とをつなぐ、現在と未来をつなぐ~

我社は、先々代の祖父、前社長の父を早くに亡くし、大学生の時に社長を引き継いだ兄と、弟の私とで、一緒にガソリンスタンドの仕事をしています。兄は、会社の金融や価格方面を主に行い、会社の改革をしたいと思いながら、なかなか思うように出来ずに悩んでいました。ある時、普段私が一緒に遊んでいた伊藤義康氏(イトウシャディ㈱)に誘われ、わけも分からず榛原例会に参加し、伊藤氏の「我が経営を語る」を聞いたのがきっかけで同友会を知り、入会しました。入会後、経営理念の必要性を強く感じ、すぐに社長に相談して、第9期創る会に参加することにしました。

創る会に参加して素晴らしいと感じた事は、スタッフや受講生のみなさんが我社について、忌憚のない意見を言ってくれることでした。理念を創っている時は必死だったので分からなかったですが、みなさんには感謝ばかりです。みなさんの意見によって、自分の心の奥にあった会社への思いが出てきて、経営理念が出来上がりました。

卒業後まず、社員の中で一番年上の女性に、理念を色紙に書いてもらいました。なぜならその人はもうじき定年で退職していくので、会社へ思い出が出来るかなと私なりに考えお願いしました。また、その経営理念が出来上がった後に、創業当時からお付き合いしている税理士の社長さんに経営理念を見せた時、「先代の思いが出ている野川商店らしい素敵な経営理念ですね」と言っていただき、うれしかったです。もちろん社長は、この経営理念でいいと言ってくれました。経営理念を創った事で、社長との関係が今までよりスムーズになり、私と社長との距離が近くなりました。現在、経営計画により今まで実行出来なかった事柄、例えば、社員との交流・勉強会・新人の採用などが、計画に落とし込む事で、一歩ずつですが、出来るようになってきました。社長と一緒になって新たな経営計画を創りあげる事が現在の我社の課題です。

経営指針を創る会9期卒業生 野川 和三氏(㈱野川商店・榛原支部)

第10期経営指針を創る会の参加者による報告は、望月光太郎氏(㈲望月)、渡辺直俊氏(フジゲン㈱)、草ヶ谷力氏(草ヶ谷燃料㈱)、雨森壮一郎氏(㈲雨森新聞舗)の4名。進行も務める望月氏から同友会活動の神髄と経営指針についての確認があったのちに、各氏の発表へ移りました。

望月氏からは「理念づくりと同時に、集中して取り組んだこの経験が大事。自分たちが日々実践していることを理念にしていく」、渡辺氏からは「経営と現場との間で悩みもあった。今回は工場理念を創り『一流の製品』に拘っていく」、草ヶ谷氏からは「社長とはいえ実務は以前と変わらなかった。社員との関係性、数字への意識に変化があり、コミュニケーション重視型の理念を」、雨森氏からは「毎年1月に社長としての想いを社内発表。働いていてよかったと社員に言ってもらえる会社にするため理念をさらに磨き上げていく」との発表がありました。

発表者の思いの裏に共通しているのは、「創る会」参加前と後との変化への気付きでした。経営に本気で取り組む仲間の姿に、大いに刺激を受けました。皆さん熱い!!

顧客からの高い評価は信頼の証

望月スレート

望月 静雄氏(富士支部)

事業内容 屋根・外壁工事

創業   1974年(昭和49年)3月

社員数  正規3名、パート2名

入会   1987年(昭和62年)10月

所在地  富士市松岡645-5


望月 静雄氏

事業内容

 望月スレートは、屋根、外壁、内装などのスレートに関する工事中心に、住宅、工場の建築業務を幅広く請け負っています。父がスレート職人だったことから若くして現場の仕事に従事していた望月静雄氏は、頼まれた業務は全て引き受けるというスタンスで、早くから様々な資格、認可を取得することで顧客の信用と信頼を得てきました。その積み重ねてきた実績により、今でも営業は特にかけていませんが、常に受注が入ってきます。

富士川以東をエリアに、取引先からの受注だけでなく、施主からの直接取引も増えてきました。スレート屋根は2割に減少していますが、老朽化した屋根をカバールーフ工法によりリフォームする顧客が多く、美観や環境面で高く評価されています。

後継者に託す思い

現在は息子さんが業務を取り仕切っており、本人はあまり携わっていません。望月氏は地域貢献を優先し、町づくり協議会の副議長を務めたり、NPO法人の立ち上げに協力したりと、忙しい毎日を過ごしています。仕事量も順調に推移し、外注さんとの関係もいい状態です。最終的には本人次第と考えていますが、同友会の若手経営者らと一緒に学んでもらえたらとの思いも抱いています。


望月スレート 社屋前にて

同友会との関わり

昭和62年に入会し会歴も27年になります。富士支部の役員としても20年以上に亘り、あらゆる役職を続けてきました。事務所の入り口には「3つの目的」のパネルが置いてあり、同友しずおか、中小企業家新聞などの会報は、丁寧にファイリングされています。「同友会は、3つの目的が非常に良い。そして仕事でなく学びを得られる場である。」そう断言します。これからは若手育成のために、その知識と経験をお伝え頂きたいと、切に願います。

取材:望月 光太郎氏(㈲望月・富士支部)



経営指針委員会に所属している増田崇氏( ㈲リアス)に「我が経営を語る」をお話し頂きました。損害保険代理店代表の増田氏は昨年、創業者の母親から事業継承したばかりの2代目です。高校卒業後、アメリカのオレゴン州の大学へ留学し、会計学を専攻。帰国後は静岡の会計事務所に就職します。会計事務所に勤務する中、関連会社として「事業再生専門コンサルティング会社」を設立し代表となったのが9年前。転機は4年前。保険会社による保険代理店の吸収合併が進められる中、事業継承者のいない代理店は吸収される側の候補だと母親から聞き、自身が継承し会社を存続させることを決意します。1年の研修を経て同社へ入社すると、会員であった母の勧めもあり同友会に入会。県の経営指針を創る会9期生となり経営理念を作成、卒業の数か月後には代表となり今日に至ります。コンサルティング会社の代表を務めていたこともあり自社分析、戦略については「素晴らしい」の一言でしたが、それ以上に経営理念に対しての思いや、「このような会社にしていきたい」という思いが伝わる発表でした。自分に言い訳をしない姿勢やプロ意識を強く持つ姿勢を強く感じました。それぞれの方が会社の在り方や会社がどのような保険に加入したらよいか考えることができた例会となりました。