きらめきの感動を次世代へとつなげる
㈱微助人
代表取締役 野口 繁明氏(沼津支部)
事業内容 広告、美術業(デザイン、ディスプレイ、ネオンサイン、電飾サイン、建築金物、オブジェ制作)
設立 1978年6月
社員数 正規5名 パート2名
入会 1990年8月
所在地 沼津市大諏訪837-2
野口 繁明氏(D-village前にて)
技術を学び、積み重ねて得た“微助人オリジナル”の評価
㈱微助人は、沼津市片浜地区の準工業地域で37年間、サイン・広告塔・建築金物・ディスプレイ等をデザインから完成までワンウェイで手がける会社です。
野口繁明氏は1978年、25歳のときに勤務していたネオン会社から独立しました。「ゼロからのオリジナリティはない!」が野口氏の口ぐせで、「その時代の最高水準の技術を取り入れてサインを作り続けることで、やがて“オリジナル”と評価される位置に到達できる」と語ってくれました。
リーマンショック直後の危機から改革を断行
創業から20年間は時代の流れもあり、順調に推移して赤字決算を経験しませんでしたが、2000年以降、特にリーマンショックの翌年2009年は、大きな赤字に転じました。かつて経験のない事だったので、抜本的な改革を断行します。まず、役員報酬の大きな見直し。そして、社員の出勤時間を8:00から7:00に早め、その1時間を、本社半径50Mの清掃ときめこまやかな作業手順の見直しにあてました。また、それまでゼネコンからの受注が60%だったところをクライアント直接受注に切り替え「100円のものを100円で」受注できる「クライアント発掘隊」を結成し徹底的に実践しました。その甲斐あって2011年の決算は黒字に回復し、以後も黒字決算を継続しています。
技術とセンスを終結した「D-village」
D-village
「力だめし」と「経営理念の実践」と銘打ったプロジェクト「D-village」を、工期1年3ヶ月(基礎・鉄骨・本工事・スチールサッシ・オリジナル照明・外溝工事 等々)で直営にて完成し、2015年4月に竣工しました。ここには、㈱微助人の技術、そして野口氏のセンスが全て注ぎ込まれています。
2018年には事業継承を控えており、忙しい日々が続いているそうです。「次世代には、街がきらめくヒューマンメディアの感動を通行人(みちゆくひと)に伝えていってほしい」と微笑みながら語っていました。
片野 浩一氏(㈲弥生製作所・沼津支部)
「代表者が亡くなり困っている不動産屋があるから、やってみないか?」と父から言われたことが、我が社をはじめたきっかけです。その頃の私はサラリーマンで、不動産業を経験したこともありませんでした。しかもいきなり代表者という事で迷っていたところ、父が代表者になると申し出たので、不動産屋を承継しました。問題も多々ありましたが何とか5期目を終え、2011年9月、代表を交代しました。その年の3月に東日本大震災がありました。我が社のある御前崎市は①東海地震の震源地②原発があり危険③津波高予測21mもあるということによる影響が市内企業に出始めた時期でした。翌年、このままでは会社の存続が危ういと感じ「経営指針を創る会」へ入会しました。
受講して一番印象に残っている出来事は「あなたは外部環境のせいにして言い訳ばかりしている!」と言われたことです。心の中で「外部環境の変化で経営状態が悪くなったのだから仕方ない」と考え、そこから脱却しようとしていなかった自分がいることに気づきました。外部環境に左右されない経営を目指すことが、新しい視点で物事を考えるきっかけとなりました。
創る会には会社の悩みや業績を1年で改善してくれる秘密の方法があるわけではありません。経営するとは?社員とは?毎回受講することやスタッフの皆様による助言を頂くことでいろいろなことに対して「気づき」がもらえます。自ら気づくことで経営理念や経営計画を作成することができるのだと私は思います。「経営指針を実行できるかどうかは本人次第」それを忘れないように現在はスタッフとして参加させていただいています。
経営指針を創る会9期卒業生 笠原 宏文氏(㈱あじはま企画・榛原支部)
【写真】浜松資材(株) 秋山 久武氏
【逸品】ポリウレタン製 耐震ゲルシート
会員企業名 | 浜松資材(株) | 設立 | 2010年9月 |
会員名 | 秋山 久武 | 業種 | プラスチック製品製造業 |
所属支部 | 浜松支部 | 社員数 | 正規2名 |
会暦 | 2012年8月入会 | 事業内容 | ポリウレタン製耐震マットの製造、販売 |
■会社概要
浜松資材(株)は、浜松市南区・JR天竜川駅から南へ約1kmの所にある、ポリウレタン製耐震マットの製造、販売を行う会社です。
社長の秋山久武氏が、元々行っていた繊維の染色に行き詰まりを感じ、新たな分野を模索していたところ、丁度良いタイミングで「会社を買いませんか」という声がかかり、2010年10月に転業しました。
現在は、「耐震ゲルシート」を主力商品として製造しています。熱可塑性(常温では変形しにくいが、加熱すると軟化し 成形しやすくなり、冷やすと再び固くなる性質)を利用した、粘着性と低反発弾性をプラスした新素材の製品です。また、ニッチな市場を狙った製品づくりとして展開しているそうです。
■製品紹介 こだわりの耐震マット
現在は、メーカーからの直接下請けで成り立っています。主製品は、耐震マットであり、固体と液体の両方の性質を併せ持つゲル(GEL)に、粘着性と低反発弾性をプラスした新素材の製品です。また、この耐震マットは先にも述べたように、柔軟性と粘着力があることにより、あらゆる揺れに追随し、すぐれた振動対応能力を発揮しており、難燃性、耐候性、絶縁性、引っ張り強度など、今までの素材に無かった新しい物性を持ち合わせているものです。
用途としては、オフィス、工場などでの耐震・パソコンや家具等の転倒防止、精密機器やモーター類の防振・防音など、様々な用途に活用されています。
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■時代の変化の中で…
2011年3月に発生した東日本大震災の影響により、転倒防止のための需要が増大しました。また、2011年7月にアナログ放送から地上デジタル放送へ切り替わったことで、テレビ本体の切り替えと同時に、「テレビの薄型化」により、土台の固定化で更に需要が増大し世の中に貢献されたようです。しかし、その後、ハイスピードで変わるテレビ家電業界では、薄型から壁掛けへ移行しつつあるなかで、徐々に受注量が減少していきます。そこで、素材の特性を活かし他分野に展開できないか、と模索を始めました。
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■今後の展開 技術を活かしたコラボ製品を展開したい
現在秋山氏は、自社の技術を活かした中で他企業とのコラボ製品で展開できないかと考えています。特に、少量でニッチな部分で独自の技術を活かした中で、現在、何かできないかと模索中です。たとえば、様々な用途で活用されているソフト基盤に粘着性マットを活用できないかとか・・・。そのための防水性と絶縁性のテストを行い、製品化を試みようとしているところです。
ゲル素材の特徴は、
・粘着性
・柔らかさ
・衝撃の吸収性
・経年劣化しにくい
・防水性
・絶縁性(電気を通さない)
・熱・温度変化・紫外線に強い
・防音の可能性あり
などです。これらの特性を活かし、様々な製品提案を今後積極的に展開していこうとしています。
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今後は、同友会のメンバーとのビジネスマッチングの機会をつくり、自社とのコラボレーションできる機会を作り、更なる発展へとしようとしている秋山氏でした。
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取材・記事:須山 由佳子 氏(㈲キャリア・アップ・浜松支部)