経営指針を創る会一泊研修会が、9月26日~27日に開催されました。会場は、会員でもある御殿場高原ホテルの会議室、受講生全員とスタッフ・事務局40名が参加しました。

【写真】経営指針を創る会一泊研修会 (31)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一日目は、まとめシートを中心に、①わが社の顧客は誰か、どこにいるか。②顧客が本当に求めているものは何か。③自社事業の定義は。④事業は将来どうなるのか、を考えたうえで発表に臨みました。
発表に対し、卒業生スタッフから本質をついた質問や意見が出され、受講生が口ごもる場面もありました。

二日目は、これまで考え抜いてきた経営理念でしたが、意見や助言を聞いて練り直し、朝まで徹夜して書き上げ、内容が変化していました。発表は、自信と確信に満ちており、人が変わる瞬間というものを感じます。寝てはいないものの、すがすがしい朝を迎えた方ばかりでした。

【写真】経営指針を創る会一泊研修会 (57)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから理念にもとづく方針・戦略の構築に移り、2月の最終発表会に向けて、中盤戦に入ります。

 

指針を創る会に関わり、早12年が経ちました。「10年偉大なり」と言われますが、果たして自社は変わったかと己に問うと、手応えがなく少し気恥ずかしく思います。

さて、どちらかと言えばこの会では歯に衣着せず、ズバズバと本音で指摘するのが私のスタンスになっています。それは、各々の問題が自社とは全く遊離しているものではなく、故に一層真剣に熱くもなるのです。もちろん厳しさの中にも相手に対する思いやりや願いは忘れません。ただ、近年はそうしたお互いの事を真剣に考え、議論することが薄くなってきているように感じます。以前に比べ、自社の悩みなどをあからさまに打ち明けることが減ったように思います。今の時代、スマートで格好良い生き方が主流だからでしょうか。

私が同友会に入会した当時は、例会報告などの後でも、先輩諸氏からかなり厳しいご指摘を頂きました。そのお陰で何くそと闘志を駆り立てられたものです。ギブ・アンド・テイクという言葉の通り、投げ掛けがなければ人の心を叩くことができず、求めるヒントも生まれません。同友会らしく、泥臭く本音で語り合うからこそ自社の大きな課題が見え、解決の糸口が掴め、そしてその先の、同友会3つの目的達成に繋がるのではないでしょうか。

自社に話を戻すと、大きくはなくても着実に前進しているように思えます。モノづくりの中にサービスをといった戦略が少しずつ功を奏しているように感ずるのです。お客様の問題解決のお手伝いをと、小回りの利く小さな仕事が、決してそれだけには終わらずに次の仕事へと繋がっています。そうした意味でもかつての1社依存の体質から抜け出たとも言えるでしょう。ともかく、指針は成文化するだけでなく、実践に移していかなければ少しも会社は変わりません。創る会メンバーの成長と、会社の大きな発展を願い、明日の静岡同友会の原動力となることを期待します。

経営指針を創る会1期卒業生 秋山 和孝氏(㈱アイソー・沼津支部)

【写真】(有)ゼロ 柳楽 洋一郎氏

【逸品】ドライブレコーダー

会員企業名 (有)ゼロ 設立 1999年10月
会員名 柳楽 洋一郎 業種 自動車用品小売業、自動車販売、板金、塗装、車検
所属支部 三島支部 社員数 パート1名
会暦 2012年10月入会 事業内容 タイヤ、ホイル、ナビゲーション、カーオーディオ、車検、板金、塗装、カーセキュリティー関連商品

 

柳楽洋一郎氏(左)、スタッフの小林さんとドライブレコーダーをアピール

柳楽洋一郎氏は、1999年に沼津で、カスタム&ドレスアップを中心とする自動車用品小売業をスタート。オープン当初2~3年は、順調に売り上げは伸びていきますが、ガソリンの高騰や若者の車に対する価値観の変化などにより、徐々に客足が遠のき、自動車メーカーと自動車用品業界の規模も縮小していきます。その一方で、お客様の車の盗難や車上荒らしの被害に遭う事が目立っていきました。その原因を探った結果「国産車には大した防犯対策がされていない」ということが分かりました。そこで柳楽氏は2003年頃から、カーセキュリティの取り付け販売を開始しました。

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その後、被害件数があまりに多くなってきた為、各地でも防犯対策やカーセキュリティの装着等が進みました。さらには自動車メーカーが、新車に対して容易にエンジンのかからない電子キーを標準装備するようになります。その結果、被害件数は減少に転じました。「セキュリティ」が自動車業界に浸透したことにより、ドライバーの盗難対策に対する意識は薄れていきます。カーセキュリティに対する興味や関心が低下したため、柳楽氏は、セキュリティに変わり強みとなる市場の開拓、商品の選択を余儀なくされました。

柳楽氏は「㈲ゼロが強みとしてきた“セキュリティ“を核に据え置き、もっと身近な防犯に繋がるものはないだろうか?」と色々検討しました。そして、「毎日のようにニュースで放送される自動車事故の減少&防止こそ、地域の貢献にも繋がる業務ではないか!」と閃きます。そこで心機一転、気持ちも新たに、柳楽氏の地元である三島に移転したのでした。

柳楽氏は三島に移転後、近年話題になっているドライブレコーダーの様々な効果を検証・検討しました。そして、装着後は事故が約3割減少しているという報告に着目。「このときに、ドライブレコーダーを拡販して交通事故の減少に努める、という決意を固めた」と柳楽氏は言います。

柳楽氏の説明を聞く大川氏(左)、佐藤氏

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さて、静岡県は、事故発生率がこれまでもずっとワースト上位に挙がっています。その理由として、東名と第2東名が横切る県であること、さらには富士山に見とれて脇見運転するドライバーも多くいることが挙げられます。世界遺産に登録された富士山や韮山反射炉をはじめ、箱根の大吊橋など観光名所が多くある静岡県東部は、今後も観光客が増加することでしょう。それと共に、ドライバーの様々なリスクも増加していくことと考えられます。

このようなことに加え、2015年6月1日に施行された改正道交法により、自転車と自動車の接触事故も増加するのではないか、という大きな懸念もあります。社員さんが営業車で交通事故を起こしてしまった場合のリスクや交通違反を犯してしまった場合など、「そのときに何があったか」を証明できるツールが必要になってきています。
一日における昼夜の事故発生比率は昼60%:夜40%であり、昼の事故は事業用乗用車が多いことがデータで示されています。そこで企業に求められるのがリスクマネジメントであり、そこで力を発揮するのが、ドライブレコーダーなのです。

防犯設備士の資格を持つ柳楽氏は、中小企業各社の皆様に、このようなリスクマネジメントの上で「具体的になにをすればいいのか」を説明して回っています。ドライブレコーダーを設置し録画することで、安全運転への意識向上と交通違反・事故の減少に繋がること、事故やクレーム時の客観的な判断材料として利用できること、また、ドライブレコーダーがない場合の証明方法がかなり困難であることを、実際のお客様の例を挙げて話してくれました。

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取材の最後、柳楽氏は「交通違反や事故などだけでなく、ドライブレコーダーを付けて走る営業車が多くなれば、その会社が地域の防犯の『目』となり地域貢献・社会貢献に繋がっていく。地域全体の防犯、そして安全・安心なまちづくりに繋がってほしいと思って取り組んでいる」と締めくくってくれました。

取材・記事:大川 博泰 氏(大川食品工業㈱・三島支部)
佐藤 浩美 氏(㈲佐藤葬具店・三島支部)