富士宮支部9月度オープン例会では、中同協専務幹事・松井清充氏の36年に渡る同友会事務局経験に基づく、非常に示唆に富んだ講話を頂きました。その中で、まず歴史を知る事の大切さを感じました。戦後復興において6割もの輸出を担い、主役であった中小零細企業の頑張りは、国の施策により大規模産業に再投資され、今日にまで至る大企業偏重感が生まれました。そのような逆風に立ち向かうべく連帯し、「同友会」は誕生したのです。そして1975年、18年の議論を経て「労使見解」が成立します。今日の私たちは、3つの目的や経営理念を先に学ぶ傾向がありますが、松井氏は「人間尊重・違いを認める精神を持った労使見解が先で、その実践の企業づくりから目的や理念が生まれる」と説きます。この事には大きな衝撃を受けました。

また、「『少子高齢化』と一括りにしてはいけない。少子化は人口減となるが、高齢化はやり方次第でビジネスチャンスとなる」「業界の境界線が無くライバルは異業種」「同友会の『民主』とは、単に多数決ではなく、徹底的に議論を尽くした先にある」「全国の仲間の事例に学ぶ」「原因のないところに結果はない。逆にいえば今の行動で未来は変わる」「仕事と雇用を創れる企業が日本と地域の再生を担う」など、多くの大切なエッセンスを頂きました。「自主・民主・連帯」の理念、そしてそれぞれの経営理念・指針を元に、どんな時代も力強く柔軟に生き抜いていこう、そんな勇気と元気を頂いた例会でした。

田邉 元裕氏(㈲カボスメディアワークス・富士宮支部)

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バズセッションのテーマは「全社一丸体制に必要なことは何ですか?」でした。社員としっかり向き合わなければ全社一丸体制は実現しないのですが、「社員とどう向き合うか(=労使見解)」は同友会でも本質の問題でありながら、とかく「労働争議時代のモノ」「うちは従業員がいないから」などと理由を付けて少し敬遠していた方も少なくないと思います。 しかし、「経営理念を作ったけれども社員は見向きもしない」「指示待ち社員ばかりで自分で考えることをしない」など、自分(経営者)が考えるようには社員が動いてくれないという悩みは誰しも共通なようで、どのテーブルでも活発な討議が行われていました。

赤石義博中同協顧問から直接聞いた「労使見解の先に全社一丸体制があり、そこで初めて経営理念が生きる」ということば、すなわち労使見解(人を生かす経営・人間尊重経営)が先で経営理念が後であるという重要なポイントを、少しでも多くの人に気付いてもらうきっかけとなるバズセッションだったと思います。

急な依頼にも関わらず、とても内容の濃かった松井氏の講話は、会歴40年を迎える竹内昭八氏(㈱タケウチ・富士宮支部)からも「レジュメの行間が素晴らしく、大変勉強に、そして大変刺激になりました」とのお礼の言葉を頂いた通り、参加した人それぞれの心に大きく残ったのではないかと思います。

稲原 研氏(松屋電気商会・富士宮支部)

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9月6日(土)御殿場市の高根中郷館・ふれあい広場にて「第1回同友会まつりinごてんば」を開催しました。職業体験ブース、働く車ブース、飲食ブースの3つをメインに、ステージイベントやマスのつかみ取りなど、天候に恵まれた事と合いまって参加会員数91名、来場客数約2,000名以上と大盛況のうちに行われました。

コンセプトである「地域の皆様への大感謝祭」と「会員同士の横のつながりの強化」という2つの目標は達成できたと思います。

設営から撤収までのほぼ全てを、異業種の集まりという同友会の特徴を生かして、会員企業のご協力により運営していくことが出来ました。

今回が初開催という事もあり反省点も多々あるため、来年の30周年には今年の改善点を踏まえ、より地域の皆様に楽しんで頂き、子供達の思い出になるような同友会まつりを会員の皆様のご協力のもと開催したいと思います。

池谷 健氏(㈲馬車道・御殿場支部)

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9月14日(日)、富士西公園にて開催した 「第22回富士支部同友会まつり」今年度のテーマは「手作りのまつりの追求」。52名の会員による今回の祭りは、好天にも恵まれ、来場客数約1,000名と大盛況でした。

会場では、焼きとうもろこしや焼きそば、ラーメン、ホルモン焼きなど、富士支部各グループが腕を競った各店の他、富士宮支部からは後藤泰輔氏(藤太郎本店)、沼津支部からは小松寛氏(㈲ヤマカ水産)が出店。その他、県立富士特別支援学校による出店や、三島支部長の三田宏一氏(㈲エムケイテクノ)の落語もありました。

今回の会場は子どもが多く、恒例の「同友レンジャー」が例年にも増して大人気。特別企画「ハンター」(子ども鬼ごっこ)や二人羽織、投げ餅、最後の抽選会まで、終始笑い声と笑顔の絶えない祭りとなりました。

望月 光太郎氏(㈲望月・富士支部)

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「人柄」が武器、目指すは「最強の弱者軍団」!

㈲イーリード

代表取締役 越膳 徹氏(沼津支部)

事業内容   物流サービス事業、ホームサービス事業 (各種清掃・害虫消毒等)

創業     2003年5月

社員数    正規9名、パート17名(グループ全体)

入会     2004年2月

所在地    沼津市原1413-1

URL    http://www.ereed.jp/


作業について説明する越膳氏

苦境を機に、自社の武器を見つめ直す

㈲イーリードは、物流サービス事業・ホームサービス事業を営む会社です。同じ建物内にある㈱つながり・㈱ゆう、という2つの障がい者就労支援事業所の窓口としての役割も担っています。元々は外資系アパレルに特化した物流サービス事業のみを行っていましたが、2000年台初期のファストファッション流行を機に、次第に業績が悪化。廃業をも考えた中で、「従業員の人柄の良さを武器にしたい」と越膳氏は考えました。

「いい人」を武器に業績回復

「人柄の良さ」を活かす為にはノウハウではなく従業員各々の特性を活かす事、そしてモノではなく人が動き、顧客先で仕事をする事と越膳氏は考え、2007年にホームサービス事業を開始します。仕事のフィールドが変われば、生きる特性も変わります。特性を活かせるフィールドを選び、仕事ぶりを見せ、信頼を得ていく。新事業を開始した事を機に、倒産しかけた8期から、業績は徐々に回復しつつあります。

目指すは「最強の弱者軍団」

越膳氏は、地域と自社の未来について「障がい者が自然に暮らせる社会、街になって欲しい。その中で当社は、弱者も稼げる会社でありたい」と語ります。健常者と障がい者がチームとなり、健常者が出来る事は健常者が、障がい者が得意な事は障がい者が担う事で、高い質のサービスを提供する㈲イーリード。目指すは「最強の弱者軍団」です。

県同友会設立40周年記念特集 設立メンバーが語る同友会

第三回 本橋 政男氏(本橋金属工業㈱・榛原支部)

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昭和47年、私が23歳の時に父が他界し、この事を受け社長を継ぎました。そして昭和49年、静岡同友会発起人の一人である深津至輝氏(㈲フカツ商店)から誘いを受け、創設メンバーに名を連ねました。とは言うものの、高い目的意識があった訳ではありません。深津氏は当時のお客さんであり、「今度同友会を創るけれども、一緒にどう?」と言われ、どういう会なのか分からないけれどもお客さんに誘われたから入ろう、というのが入会のきっかけでした。
 設立当時は静岡市で月例会を開催していました。杉村征郎氏(杉村精工㈱)と私以外は皆静岡の方だったので、杉村氏について行く形で会に出席していました。若かった事もあり、月に1回静岡に出るのは楽しみでした。また、県や全国のイベントにも積極的に参加しました。特に全国のイベントでは、いろいろな経営者に会い、多種多様の話を聞く事ができ、とても面白く、刺激になった。こういった経験から、私の中での同友会の捉え方
が変わっていきました。

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 71人から発足した同友会の増強活動は、継続して行っていきました。その中で榛原は、他に経営者団体が少なく、一方で良きリーダーとなる経営者が多くいました。そのような環境だった為、経営者なら誰でも勧誘するという事は無く、入会要請をする先を選別する事も出来ました。また、特に、松本光正氏(松本印刷㈱)と戸塚勝氏(㈱松浦スチロール工業所)の二人は地域の企業情報を幅広く持っていて、この事が増強に拍車をかけていきました。静岡青年会議所を卒業した経営者のうち「この人には是非入会して欲しい」という人に、入会要請をした事もありました。

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 さて、これからの同友会に期待する事ですが、会員の皆さんには、県の活動に、どんどん参加して欲しい。そこで、自分の肌で同友会の良さを感じ、学んでいって欲しいと思います。また、「同友会は、偏ってはいけない」。ここは、しっかり守り続けて欲しいと思います。同友会は、いろいろな考えの人がいる会であり、それこそが会の魅力、会の強さでもあります。様々な考えのある中に身を置き、自分の頭で考える。これができる環境を、しっかり守っていって欲しいです。
 私にとって同友会は、「良い思い出を残してくれた会」です。支部、県、全国の行事の中での様々な出会いを通じ、皆さんにも良い思い出、良い学びを手に入れて欲しいと思います。

インタビュー:青山 達弘氏((株)青山建材工業・静岡支部)
河内 崇文氏(㈱スマートブレイン・榛原支部)

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9月18 ~ 19日、古都奈良の地に全国から1315名、静岡同友会からは15名が参加し、第42回青年経営者全国交流会(以下、青全交)が開催されました。初日は全14分科会が5会場に分かれ、経営指針実践や事業承継、また同友会での真の仲間づくり、全国青年部活動ビジョンの実践など多岐に渡って学びを深め合いました。

記念講演は宮大工・棟梁の小川三夫氏が登壇。「不揃いの木を組む~技を伝え、人を育てる~」をテーマに講演しました。同氏は法隆寺の昭和大修理を手がけたことで知られる名工・西岡常一の唯一の内弟子。法輪寺三重塔、薬師寺金塔などの再建で活躍し、職人の世界を極めました。その後、職人が手から手へ引き継いだ“古技法の伝承”を目的に、徒弟制度による寺社建築会社㈱鵤工舎を設立。「素直な気持ちで、どっぷり浸れる環境を作る。決して急がず、人間として成長しながら大工の技を身につける。人を育てると、育つは違う。親方の役目は育つための場所と仕事をつくり、肝心な時に一押しすること。木も人も、不揃いの違いを見極め、認め、芯を見抜き、組み合わせることで強くて美しい存在となる」と語り、会場からは盛大な拍手が送られました。

2日間を通し、広浜中同協幹事長からまとめを報告。昨年宣言されたビジョン「われわれ青年経営者で世界に誇れる日本の未来を創ろう!(青全交・東京)」を踏まえ、地方創生は日本創生であり、青年経営者一人ひとりがその先頭に立っているという使命感を持っていこうと締め括りました。

今回は初めて全国大会に参加された2名の会員から分科会の感想をいただきましたのでご紹介します。


参加者感想

私は第13分科会に参加し、川田昭宏氏(川田紙工㈱代表取締役・大阪同友会)から「365日笑って働ける会社を目指して~社員教育を通じて現場から会社に変革を~」という報告を60分聴きました。

営業部立ち上げ、社内変革(リーダー育成)、新卒採用、家族の看護等、社長としていろいろやるべきことを、社員を巻き込みながらやりこなしているそのバイタリティには感服しました。また川田氏は、同友会で学んだことをすぐに実践され、継続され、着実に営業面も社内改革も結果を出していました。報告を通じ、「社内の変化を感じる」感性の鋭さや、経営者としてあれもこれもやる「覚悟」を川田氏に感じると同時に、私自身の覚悟の深さをも問われたように思いました。その後、1テーブル10名でたっぷり140分をかけ行ったバズセッションでは、各県の立場の違う経営者と「理想の組織とは?それに向かう課題は何か」というテーマで語り合い
ました。

二日目の全体会は能楽堂での開催で、お能の披露や宮大工棟梁の記念講演など、奈良県ならではの内容で、そのおもてなしぶりに感動しました。

過去最高の約1,300人が一堂に会した今年の青年経営者全国交流会で、私は同年代の全国の経営者の存在に活力を頂きました。来年は、隣県山梨での開催です。是非、皆さまにも参加して頂きたいと思いました。

梶川 久美子氏(サツマ電機㈱・沼津支部)

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企業間を頭脳で繋ぐ「スイッチングハブ」

㈱富士トレーディング

代表取締役 遠藤 正人氏(富士支部)

事業内容   各種商品卸売業(機能性食品原料、化学薬
品、樹脂原料販売)

創業     1995年9月

社員数    正社員2名 パート2名

入会     1999年9月

所在地    富士市川成島194-2


遠藤正人氏

コラボレーションを生み出す「コーディネーター」

29歳で独立し、独自の視点とアイディアを駆使しながら様々な企業とのコラボレーションを実現する遠藤氏。その仕事は、具体的な業種として言い表せないほど多岐に亘ります。例えば、日本プラストやテルモ等の大手企業にケミカル品目の卸業務をしていたり、富士カプセル等と連携して機能性食品の受託製造と委託販売をしていたり、静岡県立大学との産学連携としてグルテン・フリーの米粉パンの開発・製造・販売に携わったりと、日夜飛び回っています。

自らが軸となり企業や大学をマッチング

企業や大学の持つ技術やノウハウを、遠藤氏の持つ知識、経験、信用、発想、コネクションをフル活用し、マッチングを提案し製品化してみる。すると今度は、その製品を持って販売先を見つけてくる。遠藤氏が軸となり、企画開発、製造、販売までをコーディネートしています。

自社の繁栄は地域の繁栄と不離一体

16年の会歴の中で一番自分が学んだ事として、「地域貢献、社会貢献」を遠藤氏は挙げます。字面では何となく理解していたつもりだったものが、同友会活動を通じて自分自身も地域行事などに積極的に参加するようになり、中小企業とは地域に愛され、支えられるものだということに気付いたそうです。そして、その貢献活動が富士市を繁栄させ、果ては自社の繁栄につながると話していました。

取材・原稿:望月 光太郎氏(㈲望月・富士支部)

スカイツリーという大きな観光資源をえた墨田は、下町情緒を残す風情ある街並み。かつてあった町工場が半減し、産官学だけでなく、そこに住む人たちも参画し、地域再生に取り組んでいます。地域のものづくりを残すため、職人技を伝える体験工房や人材育成を、行政と協同して行っています。
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(産業観光プラザすみだまち処 市松人形の職人さん藤村氏)

墨田区の高野室長のご案内で、片岡屏風店(東京同友会)、吾妻橋観光協会、観光プラザすみだまち処、きらきら橘商店街、ささやカフェ、新ものづくり拠点MEW、すみだガラス市、すみだまつりと、朝9時にスタートし夕刻まで、みっちりと見学させていただきました。

片岡屏風店は、3M運動(3つのMの頭文字:小さな博物館・工房ショップ・マイスター)の推進拠点でもあります。2階を改装し体験工房をつくりました。
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(片岡屏風店の1階で片岡社長と一緒に:向かって右)

新ものづくり創出拠点 MEWの、片野さんの工房見学。ミニ体験でイニシャルを入れる作業を楽しみました。

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墨田川沿いを歩きながら、地域の元気を地域で創りだしていることが実感できました。