「経営理念を携えて」地域に根差した企業を目指す

㈱不動産鑑定士中村京事務所

中村 京氏(御殿場支部)

事業内容   不動産鑑定、調査、コンサルティング(相続、事業継承、投資)

創業     2004年8月

設立     2008年4月

社員数    正規2名

入会     2014年5月

所在地    静岡県御殿場市新橋1629-1

URL    http://home.f05.itscom.net/kantei/


中村 京氏(中央)

御殿場で開業まで

「不動産鑑定士」という、私たちが聞いただけでは業務内容がすぐにピンとこない業種に中村氏が出会ったのは、大学卒業後、国立国会図書館に勤務していた時。資格取得ののち東京都内の大手鑑定法人に17年間勤務し、平成16年に独立開業、平成20年に法人化。大学のゼミの先輩が県東部に事務所を構えていた事から、10年ほど前から御殿場市で仕事をするようになり、昨年御殿場市へ移転されました。業務内容は路線価など税金の基礎となる不動産評価額の算出、決定を行う公的評価のほか、不動産相続、投資、売買など個人に依頼される仕事もあり、意識しないところでかなり我々の生活に密着したお仕事です。

経営理念を携えて

中村氏が同友会に入会されたのは今年の5月。現在、御殿場支部の経営理念部会に所属し、自社の経営理念の成文化に取り組んでいます。これまでに作成した“想い”の骨格は、「誠心誠意」「公正中立」「自己研鑽」の3つ。個人のお客様に対してはお客様の気持ちになって最良の選択をするためのサポートを、公的業務に関しては正確で妥当な評価を、そしてご本人自身も知識やスキルに磨きをかけることを忘れない。この3つの気持ちが成文化されつつあります。

今後の目標と同友会の学びについて

入会以降、支部例会や全県フォーラム、東部役員研修会など積極的に同友会の学びに参加している中村氏。不動産鑑定士としてだけではなく、経営者としてのスキルアップにも力が入っています。中村氏が語る今後の目標は、「御殿場という地に根付いた不動産鑑定士になる」という事。同友会を通じて地域の人とのつながりと、経営者としての学びに積極的な氏は、地域で役立つ企業を目指されています。

取材:大川  隆久氏(フヱタ工業㈲・御殿場支部)
片野 貴一郎氏(㈱モスク・クリエイション・御殿場支部)
杉山  正英氏(㈲杉山正五商店・御殿場支部)
記事:大川  隆久氏

共同求人委員会の呼び掛けで毎年夏に行われるインターンシップ事業。その成果報告会が開催されました。学生の参加は3名と少なかったものの、受入企業はもとより大学や行政の担当者などが多数参加し、関心の高さがうかがえました。

㈱オートベル(沼津支部)では昨年の受入経験を踏まえ、①お客様ではなく新入社員を指導する姿勢で臨む。②参加学生の目的を事前確認する。③学生の行動を公正にフィードバックする。という点を考慮してプログラムを工夫しました。㈱アイ・クリエイティブ(三島支部)では、受入人数を昨年より絞りこみ、充実したインターンシップになるよう努めました。両社とも、受入について前向きに取り組んでおり、学生、受入企業双方に得たものがあったようです。

伊藤金物㈱で受け入れた学生は、社会人になるイメージを確立したいと参加しました。営業同行や事務作業など多岐に亘る研修を通じ、就活対策のみならず人として一回り成長できたと総括しました。事務局で受け入れた学生は、公務員志望ですが、民間のことを知る必要があると参加しました。会員企業7社を訪問し、それまで雲の上にいると思っていた社長たちが悩み、考えている姿を目の当たりにし、衝撃を受けました。中小企業経営者と話す中で、公務員として何をしたいのかが見えてきたそうです。

外部からの参加者も交えたバズセッションでは、産官学の連携による受け入れ態勢を構築すべきという意見や、より効果の高い結果を生み出すために企業と学生とが事前に目的の共有を図ることが挙がりました。学生からは、中小企業に興味がないわけではなく知らないだけ、ホームページの活用など、広報も強化してほしいという意見がありました。

今年初めてインターンシップ学生を受け入れた弊社も、準備や仕事のやりくりなど手間もかかりましたが、得るものが非常に多くありました。皆さんの会社でもぜひ、積極的な受け入れをお勧めしたいと思います。

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例年は雨に降られる事が多い収穫祭ですが、今年は開催の時間だけ雨が止み、気持ち良く開催できました。

今年は「収穫祭」の雰囲気を色濃く出そうと、猪肉の鉄板焼きや猪鍋に初めて挑戦。豚肉よりも濃く、それでいてさっぱりとした味に、皆舌鼓を打ちました。また、志太支部から安江千代子氏も参加し、お寿司を振る舞ってくれました。その他にも、そば打ちや餅つき、みかん狩りを、参加者一同で楽しみました。

会費制にした事で運営に余裕ができ、運営する皆も一緒に楽しむ事のできた今回の収穫祭。会員間の懇親、連帯意識の強化や、普段は聞けないような個々の話を聞ける場として、今後も盛り上げていきたいと思います。

渥美 末夫氏(㈲渥美農園・浜松支部)

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静岡中央銀行の吉村謙一氏、野中友介氏をお招きし、企業と銀行の付き合い方についてお話し頂きました。驚いたのは、金融機関の預貸率は東京以外は全て預金が多いという事でした。

現在金融機関では、地方で集めたお金を東京で貸し出すという構図が出来ており、地方中小企業にはなかなか貸し出しがされないようです。そのような中、地域の金融機関の役割とは地元企業にこだわった融資展開による地域・地方中小企業の発展への寄与であるとの考えに立った、多方面からのアプローチについてご教授頂きました。一例として、国がものづくりに対して多くの補助金政策を行っている今、中小企業家がどんな事業計画を考えているのか、企業理念を持っているのか、エンドユーザーはどんな人たちなのか等をヒアリングし、補助金助成を一緒に悩み考える、地銀だからこその強みを前面に出そうと行内全体で取り組んでいる、とお話し頂きました。お客さんとのヒアリングを通じて顧客同士の取引のパイプづくりを担う事もしばしばあるそうです。

事前のリハーサル、終了後の懇親会での「何か宿題を下さい。一緒に考えましょう」「銀行員をどんどん利用してほしい、使ってほしい」というお二人の熱意と力強い言葉がとても印象的でした。

望月 健太朗氏(㈲望月新聞堂・三島支部)

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萩智理氏(㈱ラプト・榛原支部)が、会社経営の中で普段あまり気にされる事のない情報漏洩に関するリスクを、専門家ならではの噛み砕いた形で話しました。その中で、情報漏洩とは大企業だけのリスクではなく、我々中小企業の中でも身近にある、という事を繰り返し話していた事が印象に残りました。情報漏洩リスクは会社のトップ自らが意識していないと回避できない事、そして、情報漏洩しないためのアナログ的な取り決めを社内で作り、常に管理していく事が漏洩リスク対策の上で最も重要である事などは、正直なところ、考え付きませんでした。

バズセッションでは、参加者が自社で考えられる情報漏洩リスクを具体的な内容で話し合う事で、様々な問題点や疑問を発見することができました。その後の質疑応答では、話し合いの中で出た各社の具体的な問題点や疑問点を萩氏に答えてもらいました。

今例会の報告や質疑応答でのはっきりとした萩氏の受け答えからは、仕事に対する熱意と情熱が感じられました。我社でも萩氏のような、次世代を一緒に担っていく若手社員の育成をしっかりしていきたいと思います。

松下 幸示氏(㈱スーパーラック・榛原支部)

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県同友会設立40周年記念特集 設立メンバーが語る同友会

第五回 秋山 實 氏㈲豆豊商店・静岡支部)

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私が静岡同友会に入会したのは33歳の時、親類の深津至輝氏(㈲フカツ商店)から「こういう会を創るから入って欲しい」と言われて二つ返事で入会しました。私は18歳の時に大阪へ修行に出て、3年で仕事を覚え家業に戻ったところ、当時社長であった父が急逝。そこから社長になったので、経営について相談したり頼ったりする人はなかなかいませんでした。そのような中で、自分の腕を頼りに会社経営をしていたので、思えばこの誘いは渡りに船だったかもしれません。

設立当時は手探りで会を運営していた事もあり、どういう会なのかよく分からない、というところもありました。それが次第に会員を増やし、形も整っていき、静岡県で初めとなる全国行事、青年経営者全国交流会を焼津で開催した時には、杉山久司氏(美光産業㈱)や杉村征郎氏(㈱杉村精工・志太支部)を中心に、非常に活気ある会になっていました。

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私は、若い頃は支部や県、全国の行事にもよく参加しました。同友会は異業種の集まりで、それぞれにやり方やものの見方が違う。そこに、自分の業界の中だけではなかなか得られない刺激をたくさん受けました。また、先にも言いましたが、私は若くして経営者になり、頼る人がなかなかいなかった。そういった事もあり、同友会で勉強したり、お酒に付き合ったりした中で得たものは非常に多かったです。

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例会のほかに、私の会社の近辺でいつでも集まれるような人達、中島彰氏(㈱第一不動産)や西井康仁氏(㈱富士テックス)、髙田静男氏(高田自動車販売㈱・静岡支部)達で、月に一回集まる、という事もしていました。皆が一番集まりやすかったのが、当時安西にあった「千寿」という居酒屋で、ここで話をしたり聞いたり、飲んだりしました。この会が続くに連れ、「会の名前をつけよう」という事になったのですが、誰からも妙案が挙がらない。そこで会場の名前を付けたのが、今なお続く「千寿会」なのです。

千寿会の発足メンバーでもあった中島氏には、私は多く助けられました。中でも、平成不況が始まる直前、土地の購入を検討していた時の事が大きかったです。契約の直前、中島氏に相談をしたところ、「その土地を使って、すぐに利益が出るか?」と訊かれました。そのような計画ではない、と答えると「あと数ヶ月で地価が暴落するから、買うのはやめなさい」と言うのです。この言葉に従い、土地の購入をやめると、それから数ヶ月で本当に地価が暴落しました。この時に中島氏に助言を求めていなければ、売れない土地と多額の借入を抱えていた事になったでしょう。それからというもの、私は事ある毎に中島氏に相談をしていました。そんな中島氏が亡くなってしまった事をきっかけに、私の同友会に向かう足も、少し遠のいてしまったように思います。

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さて、私は同友会の会員になって、いろいろな方と関われました。この関わり合いの中で学んだり、影響を受けたりした事がたくさんあり、それが様々な場面で、様々な形で生きています。また我が社は、㈱いしかわ包装資材や静岡醤油㈾など、会員企業の方々と多く取引があり、実際の商売でも大きな財産になっています。自ら積極的に関わる事が、自分や自社の財産を生む。同友会は、そんな会だと思います。

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私は近々、事業を息子に承継します。代が替わると、若い人と長くいる人との反りが合わなかったり、お互いに言いづらい事があったりするでしょう。きっと我が社でも直面する課題だと思います。これからの同友会には、会内でも、また事業承継をした各社でも、若い人達が頑張っていけるような環境をつくっていって欲しいです。

また、私は若い頃は例会にも一生懸命出ましたが、その後のお付き合いにもよく出ました。これらの交流は楽しく、またその中にも多く得るもの、後に財産となるものがありました。だから、「学ぶ会」と型にはめてしまわずに、楽しめる中に学びのある環境をつくり続けていって欲しい。そして会員の皆さんには、その中で楽しみながら、多くの財産を得ていって欲しいと思います。

インタビュー:桜井 俊秀氏((株)富士フォーチュン・静岡支部)

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酒と食を通じた日々の喜びをご提案

㈱和楽

常務取締役 久保 修平氏(三島支部)

事業内容   業務用酒類・食料品関連卸、ギフト関連商品販売

創業     1921年

設立     1972年

社員数    正規10名・パート5名

入会     1999年9月

所在地    静岡県三島市西本町1-2

URL    http://www.waraku-izu.com/


久保修平氏(左から2人目、ル・パサージュ前にて)

酒・食を通じ人生に華を添える老舗

㈱和楽は、大正10年の創業以来、三島の地で地酒・焼酎・ワインなどを中心とした酒類や、こだわりの食品を販売している酒類専門店です。経営理念「食楽~飲食を中心とした楽しさの提案~」を掲げ、創業以来「お客様第一主義」「人と人との繋がりを大切にする」をモットーに、全国各地の蔵元(作り手)の思い、そのお酒が育った風土・歴史や伝統などをお客様に伝える事はもちろんの事、飲食店に集まるお客様やご家庭に於いて、酒・食を通じてより楽しい時間を過ごして頂き、明日への活力として頂きたい、そのようなお手伝い・ご提案が出来れば酒屋冥利に尽きます。

大社の杜みしまにワインショップ「ル・パサージュ」をオープン

大社の杜みしまのコンセプトは「アソビが生まれる粋な裏路地」。かつて人、モノ、文化が交流していた三島大社門前のにぎわいを復活させようという思いに賛同して出店し、平成25年の開店からちょうど一年となりました。三島・伊豆を発信できるような商品を販売しながら、ワイン・チーズ等を取り扱い、新しいライフスタイルを提案できるようなお店づくりを目指しています。店内のバーコーナーでは、仲間と語らう楽しい時間や、お一人で来られたお客様が心癒されるような時間を過ごせるような場づくりを心掛けています。

環境整備への取り組み

重点課題としながらも日々の簡単な掃除程度しかしていなかった環境整備。そんな折、函南町の姫沙羅さんから環境整備交流会の話を聞きました。初めての体験でしたが、姫沙羅さんに伺い、社員の方々からは直接取り組み方を、また原俊治氏からは考え方をご指導頂けたことに、本当に感謝しています。まだ始めたばかりですが、毎朝欠かさず社員全員で少しずつ続けています。

取材:佐藤 浩美氏(㈲佐藤葬具店・三島支部)
三田 宏一氏(㈲エムケイテクノ・三島支部)
伊丹 克明氏(㈱マルヨ・三島支部)
柳楽 洋一郎氏(㈲ゼロ・三島支部)
秋田  輝儀氏(㈲システムエイド・三島支部)
記事:久保 修平氏(㈱和楽・三島支部)

同友会から総勢11名で参加しました。会場は県立静岡北特別支援学校(以下、静岡北)と県立中央特別支援学校(以下、中央)です。各校長先生の御挨拶の後に、理研軽金属工業㈱の佐藤総務課長が、初めてハンディキャップを持った社員を受け入れる苦労や対応を、いくつかの事例を上げながら報告されました。孤立しないように最初から2名を受け入れるなど「障がい者雇用は企業の義務」という社長の志を担当者が背負っての現場・現実の事例発表でした。その後、幾つかの班に分かれ、中央と静岡北の授業を見学しました。昔よりも授業(作業・訓練)の内容が現実に則していました。特に職業理念の育成に力点が置かれていて、自分たちの作業した商品は誰がどこで使うのか、どんな役割があるのか問いかけ、仕事に真正面から取り組む内容でした。作業は単純作業かもしれませんが、「自分たちが会社や社会の役に立つには、どうしなければいけないのか」それを、毎日繰り返して指導されている先生方の気持ちが生徒に伝わっているのが判りました。就職する生徒の皆さんを受け止める企業の一人として、「できないこと」の引き算で判断するのではなく、「できること」の足し算で彼らを評価すべきだと感じました。

見学後に雇用状況の説明、就労に向けての関係機関との連携などの説明があり、最後に見学された方との意見交換を行いました。ちなみに最初にマイクを持ったのは、池原障がい者問題委員長でした。

金澤 仁氏(㈱金沢紙工・静岡支部)

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サッシ、ガラス等の販売・施工を行う海野サッシ商会の海野敦氏が登壇。昭和44年に父が創業、平成3年に家業を継ぐ決心をしました。職人として仕事に勤しみながら、社員と奥様とで困難を乗り越えていくも、リーマンショックの影響等で仕事量、売上確保に苦労されました。その状況の中、同友会に入会。経営指針の実践を目指し、小回りが利く自社の強みを生かした受注確保、建設業ネットワークづくり等に挑戦していることを語りました。報告後、当日は、奥様も見ておられる中での発表とかなり緊張されていた事と思います。

報告後のバズセッションでは、各テーブルからは辛辣な感想や意見も聞かれましたが、「倒産の危機に直面しても立て直したのは、取引先や㈱斉藤組の先代社長の助言、海野氏の父と御自身の人柄であり人望ではないか」等の意見が聞かれました。経営指針の実践に今後もさらなる覚悟を持つための激励も挙がりました。迷いを捨て、これから先も明確な方針と考えを持って、どの様にしていけば良いか、経営計画を複数年に渡り、作成して実行して頂きたいと思います。

片山 直昭氏(㈱シズメン・静岡支部)

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今回のテーマである事業継承は、弊社で経営しているゴルフ練習場も社長(父)や支配人(母)が60歳を超え、最近引退についてしばしば話し合いを行っており、私自身も直面している問題でした。

今回の例会では、「既に事業継承された」「今後、事業継承される」「今後、事業継承する」という、立場の違う3名の報告が行われました。



報告の後にそれぞれグループに分かれて、各報告者が実際に体験した、あるいはこれから体験するであろう事業継承について、いつ、どのタイミングですればよいのか?そして継承を行ったうえで、会社の問題点の改善や今後の目標を達成するためにはどうすればよいのか?などを、グループワークによって意見交換しました。


そこで私が一番感じた事は、覚悟だと思います。先代から全てを受け取り事業を継ぐ覚悟、次期社長に全ての事業を継がせる覚悟。例会を終えて改めて人、モノ、お金を継承し事業を永続的に経営する難しさを実感しました。

企業は人と同じで100社あれば100通りの継承パターンがあると思います。我々中小企業家は、事業継承というと親子、又は親族間の継承が多数だと思います。継承させる方も継承する方も存在が近いだけに、それぞれの思いや経営理念についてしっかり意志疎通をし、覚悟を決め、将来の準備をすることが大切だと学びました。

勝亦 政和氏(㈲静西開発 神場ゴルフセンター・御殿場支部)

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