【シリーズ憲章】2008年8月号第4回

カテゴリー:中小企業憲章

2008年8月号【第4回】 「中小企業は植物?」 遠藤一秀氏(遠藤科学㈱・静岡支部)

 

世界中の大企業が「市場原理」に突き動かされ、グローバル展開」を狙って動物のように移動しています。草を食べ尽くした羊が別の草原を探すように、安い労働力を求めて九州、韓国、中国、そしてベトナムへと進出と撤退を繰り返してきました。肉食動物が移動する羊を追って移動します。新興市場を求めてNIEs,ASEAN、BRICsへと市場開拓のターゲットを拡げ続けています。
食べ尽くされたかに見えた草原も季節が巡り、雨が降れば元の緑を取り戻します。地に根を張った植物は、この営みを繰り返して、徐々に大きな群落に成長します。その地の気候に順応する進化を遂げ、大地を肥沃な土壌に変えていきます。そこはやがて多様な動植物が共生する緑豊かな大地となります。
中小企業は植物です。地元に根を張り、地元から養分をいただき、地元に貢献して生きています。地域住民に必需品や、サービスを提供し暮らしを支えているのは中小企業です。町内会、商店街、地元PTA、お祭りなどでは、地元の中小企業家が大きな役割を果たしています。地域勤労者の大部分は地元中小企業や自営業で働いています。
多様性に富んだ植生のなかでしか昆虫や動物が棲息できないように、元気な中小企業群なくしては、地域のくらしも、経済も、大企業も、自治体も、国家も成立しないのです。
遠藤一秀氏 県憲章推進本部長