愛する人を見送る心に寄り添って400年 ㈲佐藤葬具店 代表取締役 佐藤 浩美氏(三島支部)

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愛する人を見送る心に寄り添って400年

㈲佐藤葬具店

代表取締役 佐藤 浩美氏(三島支部)

事業内容:葬儀施工、仏壇、仏具の販売、小売

創業:1624年

社員数:正規10名 パート数名

入会:2012年4月

所在地:三島市西本町1-27

  三島広小路駅から徒歩3分、駅近郊の賑わいのすぐそばに㈲佐藤葬具店はあります。その経営者であり、同友会歴7年目となる佐藤浩美氏を訪問しました。同社の歴史は古く、起源は寛永元年(1624年)にまで遡ります。当時の宮大工はその技術から、棺桶や仏具を造るなどの仕事を任されていて、おそらくその流れから、今の葬儀社という職業に移っていったものと考えられています。 さて、店舗の看板(外観写真)には歴史の重みが伝わってくる「佐藤造花店」の文字。何故、葬儀社なのに「造花店」なのか? かつては、葬儀社では祝いの花輪なども扱っていたため、同業者の多くが「造花店」と名乗っていたそうです。


「縁でいんぐノート」の想いと、店舗改装

 2017年11月に店舗を改装し心機一転、忙しい日々を送る佐藤氏。一般的に葬儀というと、重苦しい雰囲気や見えにくい料金なども相まって「大事なことではあるが、なかなか相談などに踏み込めない」と思う方が多いそうです。そんなイメージを払しょくし、もっと気軽にお客様に遊びに来ていただきたい、萬処でありたいという思いから、木のぬくもりを基調とした店舗に改装しました。佐藤氏が発案した、エンディングノートならぬ「縁でいんぐノート」も、その考え方にリンクしたもの。形式に囚われることなく「本当はどんな葬儀をしたいか」を見える化することで、お客様の葬儀に対する思いが明確になってくる仕組みです。「お客様の理想の葬儀を実現したい、お客様との縁を大事にしたい、葬儀を考えることで同時にご自分やご家族、御身内を振り返り一層大切にして頂く良い機会にしてほしい」という佐藤氏の想いが、「縁でいんぐノート」という形になりました。


自身のつらい体験と良い葬儀への思い

  「送ってもらう側もそうだが、送る側が後悔せずに、満足した式を行うことが最も大事」と言う佐藤氏は、自身もつらい思いの中で、社長を引き継いでいます。20歳の時に当時の社長であるお父様を亡くされ、その後を引き継いだお姉様は、44歳の若さでこの世を後にしました。その間にお母様も亡くされていて「仲の良かった大切な家族のつらい旅立ちを経験したからこそ、お客様に信頼され、寄り添えるようになったのかもしれない」と佐藤氏は語ります。
 お客様との信頼関係があるからこそ、葬儀が終わってもお店に立ち寄ってくれたり「佐藤さんに頼んで良かった」と言ってくれたりするお客様が以前にも増して増えている、とのこと。「この言葉を聞くことが、この仕事をやっていて良かったと思える瞬間だ」と佐藤氏は言います。お話を聞いていても、相当つらかっただろうと思いますが、それを経験にしてより一層お客様との縁を繋いでいく、佐藤氏の人間としての強さ、そして経営者としての力強さを感じました。同友会で学んでいる時とはまた違った佐藤氏の一面を見た気がします。私自身も「送り、送られ」という瞬間は必ずやってくるので、考えてみようと思う時間になりました。

取材・記事:山下 直毅氏(㈱サンアイ電工・三島支部)
取材:秋山 敦氏(㈱秋山建設・三島支部)