「同友会に入っていなかったら、きっとワンマン経営者のままだった」 ~ピンチをチャンスに変えてくぐり抜け続ける社長の成長~ ㈲洋和鉄工所 代表取締役 渡辺 克洋氏(富士宮支部)

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「同友会に入っていなかったら、きっとワンマン経営者のままだった」
~ピンチをチャンスに変えてくぐり抜け続ける社長の成長~

㈲洋和鉄工所

代表取締役 渡辺 克洋氏(富士宮支部)

事業内容: 自動車の生産ラインのベース製作からプラント関係の大型

社員数:25名(パート含む)

設立:1965年

入会:2009年10月

所在地:富士宮市杉田523

URL:http://yowa.biz/pc/

              


いきなりのピンチ!?そしてさらに大ピンチ!?

 1963年の創業で、現在では大型機械加工機を約15機という国内最多数体制を整える㈲洋和鉄工所。この強みを活かし、品質・スピード・コスト・多品種のニーズに応えています。代表取締役の渡辺克洋氏は、大規模な設備の開発に従事し経験を積んだ後、創業者である父の後継者候補として1998年に入社。社長になるまでの10年間は年間休日5日、残業時間は毎月200時間オーバーのペースでガムシャラに働きました。2008年に代表に就任しますが、リーマンショック、父の入院と次々に経営危機が訪れます。仕事の延期やキャンセルが相次ぐ中、経営者としての経験不足や心の余裕のなさから「なぜこんなことも出来ないんだ!?」と社員とぶつかることも日常茶飯事でした。


ピンチの中での同友会への入会

 この年に、運命的な出会いが訪れました。交流のあった経営者から同友会に誘われ入会。メンバーの助言や愛のムチを糧に仕事や社員との向き合い方を変えました。3工場分散のため不足しがちなコミュニケーションを、昼食補助システムを導入して可能な限り集まれる場を創出。社員への声掛けや彼らの家族への配慮も欠かしません。業務についても社員の希望を取り入れ分担調整するようにし、モチベーションアップに繋げています。


チャンス到来。高い技術を。

 リーマンショックの影響で厳しい中、渡辺氏が注力したのは免震・制震などの災害対策技術でした。仕事が少ない時期を逆に活かして技術開発に努めたことが功を奏し、チャンスが到来します。スカイツリーの建設に求められる厳しい納期と技術要望に困っていた取引先から相談を受け、見事クリア。2011年の震災の影響もあり、50社程だった取引先が現在では150社程までになりました。また、自社の強みを生かし、建設・建築系部品をはじめ、大型重機や、船の重要な駆動部に使われる部品、精密機器の検査設備の製作など多種多様な業界の案件を受けています。


業務の見直しと人材の課題

 お客様の要望に答えるため夜間もプログラムで機械を動かしていますが、切り屑清掃や動作チェックは深夜でも大半を渡辺氏が手がけています。「社長の働き方改革が一番疎か。家族もより大事にしなければ」と自身の改革にも取り組み中です。人材の確保と教育にも苦労しています。しかし渡辺氏の目には、社長就任時のような悲壮感はありません。悩みも多いけれど、社員や仲間を大切にし、お客様が喜ぶ品質を提供していけばなんとか繋がっていくのだという自信を、この10年で得たのでしょう。「魅力あふれる未来のために」とスローガンをかかげ、㈲洋和鉄工所は前進しています。

取材・記事:田邉元裕(㈲カボスメディアワークス・富士宮支部)