富士支部総会 記念講演
『社長、辞めるか?』の一言で気付いた、真のビジョン経営
~魂(理念)を受継ぎ、自社の存在価値を最大限に引き出す~【会員報告】

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 ㈱アルファメディア 代表取締役社長の小湊宏之氏(神奈川同友会)より、入社の経緯から社長就任、来期(25周年)までの計画を、ユーモアを交えつつ解りやすい内容でお話しいただきました。

小湊氏は大学卒業後、2年弱のサラリーマン経験の後、創業者である父親に「ブラブラしているなら、うちで働け」と言われ入社。しかし、IT企業であるものの、小湊氏はコンピューターについては門外漢で、周囲からは「縁故採用」とあまり歓迎されず本人も「社長の運転手でいいや」位の気持ちでした。

父親から「勉強してこい」と言われ同友会に入会するも、まだ経営者になるという自覚は無く、場違いのように感じていたそうです。

その後、専務取締役に就任するも、幹部社員が優秀な技術者を引き連れて退職・独立し、その後も社員の離職が続きます。その時に、同友会員より「君が辞めなければ、社員が全員辞めても会社は潰れない」の言葉で支えられたそうです。

そんな中、社長である父親が脳梗塞で入院。社長を就任するも翌年大赤字。そして父親より「社長、辞めるか?」の一言。何か考えあっての事だろうと思い「辞める」と言うと「お前は何がやりたいんだ。やりたい事が見えない」と激怒され、そこで改めて会社の沿革・ホームページなどを何回も読み返し、会社のビジョンを理解し、自分に落とし込みました。

そして、それまでの「何でも出来ます」の営業が、何も強みを訴えていないことに気付き、経営理念に基づいた福祉・教育を柱とした営業に切り替え、会社を立て直していきます。

人を生かす経営を目指し、理念の共有、ビジョンに対するベクトル合わせ、事業計画発表会やリーダー研修などを忙しくても実践し、必ず結果を出してゆく覚悟を示した小湊氏。来期は創業25 周年にあたり、中期経営計画「チャレンジ25」達成に向けて全社一丸となって突き進んでいます。

今回の講演では、自分自身解っているが実践出来ていないことを改めて気付かされました。

伊藤 博之氏(天母鋼業㈱・富士支部)

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◎感想

 小湊宏之氏は若干40歳、IT企業の“イケメン” 青年実業家です。「私が40歳のころは何をしていただろう…」と天を見上げてしまいました。

 スマートな印象から転じて、泥臭い実業界に入り、社長を務めたものの、お父さんに「社長、辞めるか?」の一言。なんてつらい言葉なんでしょう。「自分に経営者としての覚悟がなかったことをひしひしと感じた」と語る小湊氏。わかります、その気持ち。そして、涙があふれるほどつらい気持ちのなかでもらった先輩からの「君がやる気を失わないで、残れば、きみ一人居れば、会社はつぶれないよ」という言葉。嗚呼、なんて素晴らしい先輩でしょう!

そこから小湊氏の復活が始まるのです。たちあがれ、青年実業家!経営者は常に孤独なもの、とよく言われます。しかし、従業員を思う気持ちだけは、失ってはならない!「人を生かす経営」とは、人を思う気持ちがなければ、務まりません。小湊氏が直面した厳しい境遇の中で、一筋の光明を見つけたのは、同友会先輩のアドバイスのおかげだったのです。

あくまで“成功事例”として体験談を語りたかった様子の小湊氏ですが、いまだもがき苦しんでいる途上にあります。素直に失敗も語ってくれました。その素直さ、真摯さ、ひたむきな態度に、私は大変感銘を受けました。教科書通りにいかない「会社経営」、それを教えてくれる先生は、やはり同じ「会社経営者」しかいないのであります。

佐藤 義幸氏(松本工業㈱・富士支部)

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