私の逸品 第6回 天丼が魅せる富士麗 天ふじ 高田 磨人氏(富士支部)

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今回の逸品は、富士支部、天ふじの大人気メニュー「富士山天丼」です。
この料理は、富士山世界文化遺産の正式登録にちなんで、全国から注目を得られるものはないかという高田氏の熱意とアイデアが凝縮された、まさに逸品です。

 

【表紙写真】天丼が魅せる富士山麗 富士山天丼

会員企業名 天ふじ 設立 1968年頃
会員名 高田 磨人 業種 飲食業
所属支部 富士支部 社員数 3名
会暦 2000年1月 入会 事業内容 江戸前天ぷら

 

様々な食材で富士山麗を表現

中身は、富士山をあしらった真っ青なご飯に釜揚げしらすの雪化粧。周りを固めるのは、富士市の長谷川農産によるマッシュルーム、沼津産の鯵、御殿場ソーセージ、樹海をイメージした大葉、山梨ほうとうをイメージしてかぼちゃ、静岡県のはんぺんと言えば黒はんぺん、足柄の金太郎をイメージした金時さつま、由比産の桜えびによるかき揚げで御来光をイメージなどなど、丼の中に地産地消と富士の裾野が広がっています。
真っ青なご飯というと、「気味が悪い。」「不味そう。」という印象を受けるかもしれませんが、この青色を出すために紫キャベツをじっくりと煮詰めた煮汁を利用しており、むしろキャベツの甘みがご飯に浸透して非常に美味しく仕上がっています。天ぷらは天ふじ自慢の「江戸前」というごま油を利用した揚げ方で、外はカリッと中はサクサク、少し濃い目の天つゆがご飯にベストマッチしています。このボリュームで1,200円味噌汁付きはお得です!!

 

紫キャベツで染められたご飯

富士ブランドに認定

そして、6月に発売したばかりのこの料理が、9月13日には富士市商工会議所主催による「富士ブランド認定商品」に登録されました!名実ともに富士市を代表する逸品となったわけです。

天ふじの暖簾とその歩み

天ふじの暖簾には、銀座泉屋支店という文字が入っています。これは先代のお父さんが、銀座の泉屋という天ぷら屋で13年修行をして独立する際に、当時の本店の親方から「店の名前は自由にしてよい。」というお墨付きをもらいましたが、当時独立していった方々が自発的に「銀座泉屋支店」と書いたそうです。現在本店は残っておりませんが、本店の意志を継いで、江戸前天ぷらの味が脈々と受け継がれています。

江戸前天ぷらとは

天ふじのカウンターには、江戸前天ぷらに関する詳細がわざわざ額に入れて飾ってあります。一、揚げたてを提供すること。ニ、旬の素材をふんだんに利用すること。三、天ぷら油にごま油を配合して使うこと。この三つを守ることが、銀座泉屋から受け継いだ味を守ることであり、富士市でありながら「江戸前」を名乗れる証でもあります。

こだわりを店内に掲示しています

天ぷらを揚げる高田氏

同友会と高田氏

高田氏は会歴こそ13年を超えるベテランですが、年齢はまだ41歳です。20代で富士支部に入会した当時は、同年代の同期は誰もいませんでした。周りを見渡せば全て自分よりも年上の人ばかり、また新人ということで様々な役職を引き受けることになり、仕事と同友会活動の板挟みになったこともありました。それでもこれだけ長い期間所属し続けているのは、持ち前の社交性だけでなく、同友会という団体そのものが非常に魅力的だったからです。
「私は謙虚に学び合うという言葉が好きなんです。」と高田氏は言います。自分が同友会に入って、普通なら会うことのない異業種の方々、自分よりもはるかに年上の会員さんなど、全てが刺激的であり自分を奮いたたせる動機付けになっているとのことです。自分で行動しその行動に責任を持つことが、人間的な成長を促し、相手に対して信用、信頼を得られるということを、同友会で学んだと話しています。

暖簾の前にて 高田氏と富士山天丼

今後の課題と目標

経営指針を創る会2期生でもある高田氏の目標は、ずばり経営者になるということです。今の店舗は高田氏とお父さん、お母さんという3人の家族経営です。まずは従業員を雇い店舗を組織化し、既に成文化してある経営理念を基に経営指針書を作成することで、店内体制を更に強固なものにするとともに、地場の素材を活かした「江戸前天ぷら」を知らしめていきたいという理想があります。また、ゆくゆくは後継者を育てられるようにしたいとのことです。こうした想いが凝縮された富士山天丼、一度ご賞味されてみてはいかかでしょうか?

左から望月氏、高田氏、佐藤氏

■取材・文:望月光太郎さん ㈲望月
■写真:佐藤義幸さん 松本工業㈱