私の逸品 第4回 しめる・かける・かざる の3つの目的を持ったテープ「LOOTEE」 本橋テープ㈱ 本橋和野氏(榛原支部)

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しめる・かける・かざる の3つの目的を持ったテープ「LOOTEE」

皆さんは「テープ」のこと、ご存知でしょうか?

一言でテープと言っても、様々な種類があります。紙テープ、カセットテープ、布テープ・・・。本橋テープが作っているのは、織物テープです。車のシートベルト、カバンの肩掛け、社員証のストラップなど。色や、幅、風合、特徴など様々なバリエーションがあります。1本の糸から始まるテープが、様々な物とモノをつなげ、あらゆるシーンで人と未来をつなぐ主役(テープ)となっています。

逸品「LOOTEE」を含む様々なテープ

【表紙写真】「LOOTEE」を含む様々な織物テープ

会員企業名 本橋テープ株式会社 設立 1986年5月1日
会員名 本橋和野(代表取締役) 業種 細幅織物製造
所属支部 榛原支部 社員数 総数35名(パート含む)
会暦 1996年12月 入会 その他 2007年・2013年 経営革新認定

 

榛原郡吉田町にて細巾織物製造販売業を営む本橋テープさん。

元々吉田町の地場産業だった細巾織物の製造を始めたのは27年前の1986年。本橋社長は大学卒業後、地元の水産会社を経て、1年半の修行の後、本橋テープに入社しました。

本橋和野氏

創業以来「自己改革」を理念に持ち、細巾織物のテープメーカーとして、新たな商品を次々に提案しながら市場を開拓してきました。3年に一度経営計画発表会を行い、「将来何ができるか」ではなく「将来何がしたいか」という目標に基づき、社員一丸となって経営指針を決定し、その過程で、社員自身が目的意識を明確にし、企業自体の自己改革につなげていきます。

最新設備と匠の技術

牧之原工場を主力に5カ所の協力工場を持ち、業界屈指の規模を誇る生産ラインは日産10万mのテープ製造能力があるそうです。

牧之原工場
2000種類ものアイテムを保有する倉庫には、総計200トン余の商品をストックされています。

色様々なテープ

若手に繋ぐ細幅織物の可能性

本橋テープでは、積極的に若い社員に責任ある仕事を任せています。時代を読むアンテナと、お客様に応える熱意・行動力が、創造性と研究心を刺激し、社員がもつ潜在能力を存分に発揮しています。誰もが商品に対して発言する機会があり、連携プレーができているからこそ、日々新しい挑戦が出来ています。
社内はとても雰囲気が良く、熟練者から若手まで仕事をしやすい環境に感じたのが何より印象的でした。

生産からアパレル業界へ

本橋テープが行っている挑戦は大きく2つあります。一つ目は商品開発の挑戦です。「生活シーンの新主役」になるような機能や用途を開発する。また、業界のパイオニアとして、日本標準と言われる品質、コストを見直し、常に新しい顧客ニーズ・市場を生み出すことです。

もう一つは、新しい市場への挑戦です。「世界のマーケットは一つ」という経済のグローバル化により、商圏は世界に広がりました。1年前からイタリアをはじめとするヨーロッパの見本市への出展も行っています。
その為、週に1回、社内で英会話教室を開催しているほどの徹底した環境作りも行っています。

本橋テープではお客様のニーズに応え、小ロット、多品種、短納期のトータルバランスで、高品質、高効率な商品をお届けしています。それは、製販一体(製造部と営業部の一貫体制)になることで、商品のバリエーションを増やし、ロットの多い少ないにかかわらず、迅速にお客様に届けることを可能にしています。

2000点ものアイテム数

また、シルク・昇華転写プリント、樹脂加工、はっ水加工、耐光加工、防炎加工、抗菌加工などの二次加工から、完成品まで本当に幅広く対応しています。メーカーでありながら、注文に素早く対応できる小売店としての役割を果たし、ニーズに応える姿はさすがです。

2007年には「付属品(テープ)メーカーから完成品メーカーへ提案する新分野への進出」として静岡県の「経営革新計画」の認定を受けました。ペット用のリードや、新しい携帯ストラップなどを作り、東京などで行われるギフトショーに参加しています。2011年には直販サイト「TENSYA」を開設。取り扱うのは「昇華転写」という技術を用いた商品です。カラフルな模様を印刷したベルトなどを販売しています。

新たなる挑戦

数々の挑戦を行ってきた本橋テープが新たに取り組み始めたのが、今回の逸品「LOOTEE」です。※特許出願中
認定された経営革新に対し、関連性のあるテーマと言うことで2度目の経営革新も認定され、非常に期待の高い逸品であると判断できます。

LOOTEE

このルーティーは当初、テープにレースのようなおしゃれなデザインを付けられないかという、デザイン重視の提案でした。これまでの経験や知識から、このデザインに強度があれば使用用途はさらに広がるのでは…と考えた本橋氏は、負荷に耐えられる装飾の制作に取り組み始めました。

強度を出すため、既存の機械を改造し、特殊繊維を織り込むことにしました。粘着性がある特殊繊維のおかげで強度は一気に増し、紐の強度は105kgf、ループの強度は40kgfにまでなりました。

これにより、ルーティーは「しめる・かける・かざる」の3つの目的を持ったテープになりました。

スニーカーの紐や、コルセットの締め付け、洋服掛けや簡易カーテン、リュックやバックに飾りとしてつけ、ループにカラビナなどで道具をつる下げることもできます。

本橋テープがこれまで行ってきた社員と企業の自己改革、市場のニーズに応え続ける努力から生まれた「LOOTEE」。本橋テープを象徴する商品になっていくかもしれません。

 

本橋テープの商品は、暮らしの様々なシーンにおいて、陰ながら、確実にその存在をアピールしています。「時に楽しく」生活に彩とセンスを「時に優しく」生活に愛情と心配りを「時に力強く」生活に安全と力強さを提供しています。本橋テープの社会貢献価値である「楽しく、優しく、力強く」それは本橋テープの商品やサービスが、お客様の生活へのささやかな幸せのプレゼントであってほしいと強い志を表しています。本橋テープは社会に“心”の提案をし続けるたくましく素敵な企業であり続けることでしょう。


左から本橋専務・山内さん・本橋社長

 

取材:河内 崇文氏((株)スマートブレイン・榛原支部)
取材:鈴木 克哉氏((株)ガーデンプラン季風庭・榛原支部)