【シリーズ羅針盤】2012年9月第16回 望月省吾氏(㈱カネキュウ)

カテゴリー:経営指針

「指針で飯が食えるか?」
私は第1回と第5回の「創る会」の卒業生です。第1回の「創る会」に受講していた頃は、「自社の強みと弱み」「内部分析、外部分析」この辺が整理されるのだから「儲かる会社」になるだろうと鼻高々でした。ところが第1期卒業後も会社の成績はいっこうに上がってきません。その頃は「やっぱり指針では飯は食えないよなぁ」と思っていました。
ところがもっと深刻な問題が起きてきました。それは中途半端で自分勝手な指針を示した為、社員さんとのコミュニケーションが以前よりも悪くなってしまいました。私はブレていないつもりでも「社長は言う事がコロコロ変わる」「朝令暮改だ!」と非難されました。チーフスタッフが「ここはこういう事だよ」「ここはこういう事で変わったんだよ」と通訳してくれて、何とか意思が伝わるという誠に情けない状況で、同友会の仲間からも不評で「そこまで言うかよ」というくらい打ちのめされました。
このままではいけないと、第5期の「創る会」を受講しもう一度最初からやり直す事にしました。手探り状態の1期の頃と違い5期ともなると、スタッフも内容も充実していました。自分の事よりも、たった5年で此処まで完成させたスタッフの皆さんの頑張りには驚くばかりで、其処には「指針で飯が食えるか」の議論は全くなく、「社長の役割とは」「会社の存在意義とは」とか会社の核心にに触れる議論が続出していました。こんな素晴らしい環境の中で新しい理念を作る事が出来ました。
少し前に取得していたISO9001と相乗効果を生み、社内でのコミュニケーションが取れるようになってきました、私は開き直って「俺の言う事より、経営理念とISOの言う事の方が正しいよ」と、無責任な言い方をしても思いを伝える事が出来るようになってきました。
会社はまだまだ問題が山積みです。それでも土台くらいは出来てきた気がします。
経営理念とは会社の利益を上げるためのツールではなく、お客様、社員さんを始めとするステークホルダーがなくてはならない会社と思えるような「良い会社」になる為のツールだと言う事に気が付いたことが「創る会」を受講した一番の収穫でした。

       第5期創る会卒業生  静岡支部望月省吾