【私の逸品】町工場の技術と女性の感性の融合から生まれた逸品!  ㈱山崎製作所 山崎 かおり氏(静岡支部)

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【逸品】三代目板金屋 ステンレスかんざし「KANZASHI」

会員企業名 ㈱山崎製作所 設立 1970年9月
会員名 山崎 かおり 業種 板金加工業
所属支部 静岡支部 従業員数 社員16名
会暦 2008年1月入会 事業内容 板金加工業(工作機械カバー・部品・制御盤・工場設備・厨房用設備等)

 

≪創業期から、かおり氏の社長就任まで≫
(株)山崎製作所の成り立ちは今から50年前、1967年にかおり氏の父が塗装業を始めたところから始まります。親戚の会社で板金の仕事を修行していた父は、親戚の勧めもあって塗装業として独立します。その後、仕事は板金の方へシフトしていき、1970年に現在地にて(株)山崎製作所を設立します。当時、プラスチックの成型機が日本国内に大量に普及しているころ頃で、その部品を製造していた山崎製作所も順調に業績を伸ばしていき、バブル期には、従業員30名以上の企業に成長していました。

しかし、バブルの崩壊によって、大口顧客が倒産しました。売上の8割を占めていた顧客の倒産により、必然的に会社の経営も急激に悪化していきました。この時の教訓から、大口顧客に頼らず、小口の多くのお客様と取引するようになったといいます。そして、なんとか持ち直してきた頃、リーマンショックにより再び売上の半分を失いました。廃業も視野に入れ考え始めていた頃、かおり氏が社長に就任しました。2009年9月のことです。

≪改革≫

全社員撮影

社長に就任した山崎かおり氏は、早速改革を開始します。2011年に最新のデジタル・レーザー加工機やベンダー(曲げ加工機)を導入しました。これによって、納期短縮、生産性・品質の向上の他、板金職人の技術伝承も容易になりました。そんな中、過去2度の経営危機をみてきた山崎氏は、景気に左右されない経営の方向を模索し始めます。大きな要因は、機械部品を主力製品として扱っているということでした。
機械部品は企業の設備投資と密接に関連しています。そして設備投資というのは、もっとも景気に左右されるものでもあります。また、機械部品の加工は完全に下請け仕事となります。
安く、早くが当たり前の下請け仕事。良いものを作って、認めてもらえるような仕事をしたい。そんな気持ちも募るようになってきていました。
そして2015年1月、満を持して自社ブランド「三代目板金屋」を立ち上げました。

≪オリジナルブランド三代目板金屋発表≫
三代目板金屋は、自社オリジナルメタル製品を扱うブランドです。テーブルやランプのインテリア製品から、ステンレスのかんざしまで取り扱っています。そして、三代目板金屋の企画、運営は全て女性社員が行っています。板金加工という完全男性の世界に、女性目線、素人目線を入れ、それによる化学変化を期待してのことです。今年で3年目に突入した三代目板金屋事業、この事業単体では、まだまだ採算が合うところまではきていないそうですが、ブランドの立ち上げにより、メディアに取り上げられたり、展示会に出展することで、板金加工の新規顧客の開拓にかなり貢献しているといいます。三代目板金屋事業が、板金加工の営業になっているのです。

 

ギフトショー展示ブースの様子

≪KANZASHI≫
今回、”私の逸品”で紹介させていただいたのは、そんな三代目板金屋の商品の中から、最近リリースされた「KANZASHI」です。古くから日本女性に使われてきたかんざし。
現在は、浴衣や和服に合わせて、女性の髪を飾るかんざしの人気が出てきています。しかし、ほとんどが木やプラスチックの海外製品です。そんな中、made in Japanの品質、耐久性をプラスした、ステンレスの一枚板から作られた色々なデザインのかんざしを作っていくことで、かんざし文化を現代の女性たちに広げていく一助になりたいという思いが込められています。
 

KANZASHIを開発した企画営業部

これ一本で「飾る」だけではなく「まとめる」ことのできる高機能かんざしです。 和服だけではなく洋服にも、シーンを選ばない輝きのステンレス。「花と四季」、「金魚すくい」、「花札」の3シリーズに加え、静岡市東海道広重美術館とのコラボ商品「浮世絵」シリーズ。全21種類のかんざしを取り扱っています。つい先日ECサイトもオープンしましたので、山崎製作所の技術が詰まった商品達をぜひご覧ください。

静銀大賞授賞式にて

山崎製作所 http://www.yamazaki-metal.co.jp/
三代目板金屋 http://www.bankin-ya.jp/
三代目板金屋ネットショップ http://shop.bankin-ya.jp/

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取材・記事:藤本 浩氏(プリントバリュー㈱・静岡支部)