カテゴリー:静岡支部


| テーマ | 「人を生かす経営とはなにか?」 ~一人から始まった会社を未来につなぐには?~ |
|---|---|
| 報告者 | 木本 康大氏(㈱ファーストディレクションTAKEKICHI 代表取締役・岡山同友会) |
| 業種 | 照明演出を中心としたイベントの企画・設計・施工・運営 |
| 日時 | 2026年10月13日(火)19時~21時 |
| 会場 | 静岡市産学交流センターペガサート6F プレゼンルーム |
| 参加者数 | 76名 |
報告概要
株式会社ファーストディレクションTAKEKICHIは、ライトアップやイルミネーションなどの照明演出を中心に、イベントの企画・デザイン・施工を手がける企業です。
代表取締役の木本康大氏は、製造業での約10年間の勤務を経て2016年に独立。2018年に岡山同友会へ入会し、経営指針に基づく企業づくりに取り組んできました。
同社の経営理念は「場所だけでなく、人の心も明るくする」。この理念の原点となったのが、2018年7月の西日本豪雨災害での経験でした。地域のインフラが寸断され、明かりを失った地域に、依頼を受けて自社のイルミネーションを設置したところ、暗闇に不安を抱えていた住民が涙を流して感謝してくれたといいます。この経験から、単に場所を明るくするだけでなく、人々の心を明るくすることこそが、自社事業の本質であり、社会的役割なのだと気づきました。
その想いを胸に事業の発展を目指した木本氏でしたが、設備投資などに伴うさまざまな経営課題にも直面します。しかし、会社が抱える問題や自身の苦悩を社員に十分に伝えられず、一人で抱え込んでいました。目指す方向を示しながらも、その背景にある事情を共有できていなかったことが、社員とのすれ違いや衝突につながっていきました。
そんな木本氏に転機をもたらしたのが、同友会での学びと仲間との対話でした。同友会中国ブロックの交流会で経営体験を報告した際、自分をよく見せようとするあまり、経営者としての弱さをさらけ出せていなかったことに気づきます。さらに、同友会の仲間から投げかけられた「木本さんって、なんで社員を信じてないの?」という言葉が、自身の姿勢を見つめ直すきっかけとなりました。
自分に必要なのは、社員を信じ、自らの弱さや会社の現状を率直に伝える勇気なのではないか。そう考えた木本氏が幹部に向き合うと、「何とかしましょう!」という言葉が返ってきました。会社の課題を一人で抱えるのではなく、ともに考え、乗り越えようとする仲間がいることに気づいたのです。
その後、経営指針の作成に社員全員で取り組むとともに、評価制度の見直しや勤怠管理のDX化など、理念を実践するための仕組みづくりを進めていきました。
しかし、組織づくりはそれだけでは完成しませんでした。会社の目標達成に向けて邁進する役員と、その歩みについていききれない社員との間に、人間的な距離が生まれていたのです。専務からは「実は最近、社員と話すのが怖いんです」という相談があり、退職を考える社員も現れていました。
そこで実施したのが、役員と社員が互いの考えや想いを理解し合うための合宿でした。会社の目標や方針を伝えるだけでなく、一人ひとりが何を考え、何を感じているのかを知り、人と人との距離を縮めることに向き合いました。
木本氏は、経営者の責任とは、会社の社会的役割と可能性を誰よりも考え、苦しみを一人で抱え込むのではなく、ともに考えられる環境をつくることだと語ります。
「この会社を未来に残し続けたい」。創業者一人の想いから始まった会社を、社員とともに未来へつないでいく。そのためには、経営者自身が心を開き、互いを理解し合いながら、信頼関係を育んでいくことが欠かせない。木本氏の報告は、「人を生かす経営」の実践について、改めて考える機会となりました。
グループ討論
討論テーマ:自社事業を未来に残すために、あなたは今なにをしますか?
参加者の気づき
- 自社の社会的存在意義や社会的役割の認識は、「会社をこれからも残していきたい」と思う原動力になる。
- 社長の自己変革が会社の成長と変革につながり、その中で共に活躍できる人材を育てることが、未来につながる「人が生きる」企業づくりになる。
- 厳しいときも共に乗り越えようと考えてくれる社員の存在は大切。そのためにも、社内コミュニケーションや人間関係づくりと自己開示はとても重要。
例会を見学してみませんか?
同友会では、毎月例会を開催しています。初めての方も、まずは見学からご参加いただけます。



